セントジョーンズワートは、古代ギリシャ時代から使われていたハーブです。
うつ病改善や不安な気持ちを和らげる作用があるとされ、欧州では薬としても用いられています。
人によっては、使いどころを誤ると危険なハーブでもあります。毒にも薬にもなる、セントジョーンズワートを見てみましょう。
特徴
セントジョーンズワートは、オトギリソウ属の多年草です。和名をセイヨウオトギリソウといい、様々な薬効がある植物として利用されていました。
欧州では聖ヨハネの誕生日6月24日ごろに花を咲かせると珍重され、薬効が最も高まるこの時期に収穫されました。
聖ヨハネの誕生日とされる日は、夏至のシーズンです。太陽のエネルギーを宿すハーブと考えられていました。
セントジョーンズワートは栽培も簡単にできます。ただし横に広がる習性があるので、地植えにするとどんどん場所を取られてしまいます。
あらかじめ地面を囲っておくか、鉢植えで育てましょう。
株分けで簡単に育ち、4月と10月ごろが株分けシーズンです。水はけの良い土を用意しましょう。
もともと野生でも育つ草なので、肥料などはあまり与えなくても育ちます。ただ、定期的に刈り込まないとサビ病を発病しやすくなります。
種で育てる場合は、3~4月か9~10月に蒔きます。6月~8月に花を咲かせ、7~8月に種を収穫できます。
半日陰の環境を好むため、日差しが強い場所では日陰を作ってあげましょう。
エピソード
セントジョーンズワートは世界各地で自生しているため、各地で利用されています。
ネイティブ・アメリカンは炎症止めや消毒、人工中絶の薬として利用していました。
古代ギリシャの時代から利用され、当時は体の不調などの改善に使われていました。現在では不眠症や更年期障害、うつ病の治療などに使われています。
和名のオトギリソウには怖い伝説があります。平安時代の鷹匠が、ある薬草を使ってタカの傷を癒していました。
その薬はよく効くのですが、鷹匠はこれが何かを一切教えません。しかし、弟が薬草の正体を明かしてしまったのです。
怒った兄の鷹匠は怒り、弟を斬り殺してしまいます。その時の血しぶきが薬草に当たり、花びらや花に黒い斑点が付いてしまったと言われます。この薬草がオトギリソウです。
「弟切草」という名前にふさわしい伝説ですね。
この伝説からも、日本のオトギリソウにも止血効果や殺菌効果があったと推測できます。
西洋では、魔女や悪魔を退けるハーブとして珍重されていましたが、現在はうつ病や睡眠障害を改善するハーブとして有名になりました。
市販の抗うつ剤と同等の作用を持ち、しかも副作用がないという臨床試験の結果が出ています。ドイツやイギリスなどでは医薬品として利用されています。
しかし、アメリカの臨床試験では効果がないという報告もあり、特にADHDなどの精神疾患には効果がないとしています。
日本では今のところ薬効が認められていないため、食品として取り扱われています。
花言葉は「秘密」「恨み」など。綺麗な花ですが、人にプレゼントするのは控えたほうが良いかもしれません。
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効果・効能
ヒペリジン、ピペルフォニンという物質があり、これがうつ病改善に効果があると考えられています。
ヒペリジンは神経伝達物質を分解する酵素の働きを抑えます。ピペルフォニンは脳内の神経伝達を司るセロトニンが、他の細胞に吸収させるのを防ぎます。
うつ病になると、脳内のセロトニンが不足すると考えられています。そのため、いかにセロトニンを作り、温存するかが改善のポイントです。
セントジョーンズワートは、これらの物質でセロトニン温存をサポートすると考えられています。
他にも不眠解消、更年期障害、PMS(月経前症候群)などの改善が期待できます。
日本ではハーブティーやオイル(精油)、サプリメントなどで取り込むことができます。
利用方法と注意(副作用)
かつては人工中絶にも使われていたとされるハーブです。ハーブティーならまず問題ないと考えられますが、妊婦さんは飲まないようにしましょう。
セントジョーンズワートは、うつ病にある程度の効果があるとされますが、サプリメントを飲んでも効かないという声もあります。
アメリカの臨床試験のとおり、すべての精神疾患を改善するわけではなさそうなので、過信は禁物でしょう。
口コミなどを参考にして、他の商品を試すのも良いと思います。
単独で使うなら副作用の心配は少ないのですが、薬と併用する時は注意が必要です。
肝臓の代謝に影響を与えるため、薬の血中濃度を変化させてしまうおそれがあります。以下の薬を飲んでいる方は、必ず医師と相談しましょう。
- 鎮痛剤
- 抗うつ剤
- 強心薬
- ピルなど経口避妊薬
- 気管支拡張剤
- 抗HIV薬
- 抗てんかん薬
- 抗不整脈薬
- 血液凝固防止薬
他の薬を飲む場合も、念のため相談すると安心です。
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