手のひらサイズの大きなピーマン、パプリカ。
スーパーには、まるで作り物のような端正な姿のパプリカが並んでいます。赤や黄色のものが多いですが、様々な色があります。
スパイスとして、パプリカパウダーも市販されています。
ここではパプリカについて説明します。
特徴
パプリカは、ナス科トウガラシ属の多年草です。
名前はハンガリーの主要言語、マジャール語で「唐辛子」という意味。
全く辛みはありませんが、歴然としたトウガラシの一種。(ハンガリーなどでは、辛みのある品種もあります)
トウガラシの辛み成分、カプサイシンのない大型の品種です。
ピーマンなどに比べて肉厚で、甘みが強く、子供でも食べやすい優良な野菜です。外見も赤や黄色など鮮やかなので、子供が警戒しにくい色合いなのも良いところ。
(子供は本能で、植物の青を警戒します。毒草を口にしないための名残ではないかと考えられています。
幼児が青菜やサラダを嫌うのは半ば本能なので、無理強いせずに料理に混ぜてあげましょう。)
皮は硬いので、焼きナスのように焼いてから剥くこともあります。
栽培・育て方
パプリカの栽培は、ピーマンなどとほぼ同じ。
種から育てる場合は、2月末ごろに撒きます。苗を植え付ける場合は5月上旬ごろに植え付けます。
6月下旬~11月上旬まで、長い間収穫できます。
たっぷり栄養を与え、水はけの良い土が大好き。高温を好むため、日当たりの良い場所に植えてあげましょう。
背が高くなるので、主茎が伸び始めたら支柱で支えます。
乾燥対策のため、株元には、稲わらを敷いて保護しましょう。
一番目に咲く花は、栄養をすべて持っていくため株の成長を妨げます。一番花はすぐに摘み取っておきます。
わき芽はすべて取り、一番花のすぐ下の茎を成長させます。
放っておくと葉が過密になりすぎるので、適度に枝を間引きましょう。
植え付けて1ヶ月後から、2週間ごとに追肥をします。パプリカは極端な乾燥にも、過度な湿度も苦手です。乾燥したら、たっぷり水を与えましょう。
エピソード
パプリカの原種は南米のトウガラシですが、大航海時代にスペイン人(コロンブスという説も)によりヨーロッパに持ち込まれました。
品種改良はハンガリーなどで行われ、辛み成分のないパプリカを開発し、大々的に栽培されていました。国家を上げて生産保護をしていた時期もあり、ハンガリーの主要生産地カロチャには、パプリカ博物館があるほどです。
現在はオランダ、ニュージーランド、韓国などが主要産地です。日本では熊本県、宮崎県など暖かい地域で栽培されています。
日本各地の小規模農家で栽培されることも多く、夏の直売所には色鮮やかなパプリカがたくさん並ぶ光景も珍しくなくなりました。
日本のパプリカは、オランダ産より小ぶりなものが多い傾向があります。
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効能・効果
パプリカにはビタミンC、E、カロテノイドなどが豊富。特に、カリウム、葉酸も比較的多めに含有しています。
ビタミンCはコラーゲン生成に欠かせません。肌に良いと言われるのはこの作用によるものです。
肌のターンオーバーを改善するため、シミやしみの改善にも効果があると言われています。
免疫力を高める効果もあり、風邪予防には欠かせません。
ビタミンEは抗酸化作用が強く、体の老化を防ぐ効果が期待できます。
カロテノイドも抗酸化作用物質で、肌の保護を強化する働きがあります。コレステロールの増加を防ぐ効果もあると考えられています。
パプリカパウダーにはビタミンCはほぼ壊れていると推測しますが、カロテノイドやビタミンEは多く含まれています。
パプリカパウダーは味を損ねないので、毎日少しづつ摂取すると、効率よく摂取することができます。
利用方法と注意
パプリカは野菜なので、赤ちゃんからお年寄りまで安全に食べることができます。
スライスして生のまま食べることが多いですが、加熱してペーストにすると離乳食、スープ、ソースなど幅広く使えます。
甘いため、糖質は唐辛子の中では多め。野菜なので過剰に控える必要はありませんが、糖質制限などをされている方は気をつけましょう。
1個まるごと買ったけど使い切れない場合は、冷凍保存もできます。加熱して皮を剥き、冷えたものをラップで密封して冷凍します。
自然解凍して、すぐに使うことができます。
美味しいレシピもたくさんあり、海外産なら通年楽しむことができます。(国産は夏ごろが旬)
パプリカのマリネ
焼きナスのように楽しめるパプリカのマリネで、代表的な南イタリア料理の一つ。
電子レンジだと水っぽくなるので、出来るだけコンロの火で加熱して下さい。
- パプリカ 赤黄各1個
- 白ワインビネガー 大さじ1以上(お好みで)
- ヴァージン・オリーブオイル 大さじ1
- 塩 ひとつまみ
- 乾燥バジル 少々
- 直焼き用の網、トング
パプリカは半分に切り、種を取り除きます。コンロに網を乗せ、トングを用意します。
網の上にパプリカを、皮を下になるように乗せて炙ります。皮が真っ黒くなるまで、じっくり焼きましょう。
完成したらトレーに乗せ、ギリギリ触れるくらいの温度まで冷まします。
(完全に冷えると焦げの臭いがパプリカに移るので気をつけましょう。)
ヤケドに気をつけて、キッチンペーパーをパプリカに当てながら皮を剥がし、細長く縦にカットします。
漬け液と調味料をすべて混ぜ合わせ、パプリカと和えて数時間ほど冷蔵庫に寝かせると完成です。
甘味とうま味が濃縮した、パプリカの良さを最大限引き出したメニューです。
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