ピクルスに欠かせない、ディル(イノンド)の効能と育て方

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ピクルスの風味付けに欠かせないディルは、カレーなど様々な料理で使われるスパイスです。
しかし、使う人は頻繁に使うけれど、使わない人にはほとんど馴染みがなく、まだ日本では広く普及しているとは言いがたいスパイスでもあります。
良い効能もあり、歴史も古いディルはどのような植物でしょうか。

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特徴

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セリ目セリ科イノンド属の1年草です。

原産地は中央アジアと西南アジア一帯で、乾燥した土地を好みます。

ディル(またはディルウィード)は英語で、和名は「イノンド(蒔羅)」と呼びます。和名はスペイン語の「イネルド(eneldo)」が訛った言葉と考えられています。
イタリアではアネト、フランス語ではアネット、中国ではシールオと呼ばれます。

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種子は「ディルシード」と呼ばれスパイスに、葉はハーブや彩りに使われます。葉はトクサのように細く、繊細で独特な姿をしています。

フェンネルキャラウェイに近い仲間で、国や地域によってはディルと混同されることも。味も比較的近いため、代用することもできます。

効果・効能

ディルの葉には様々な栄養があり、特に多いのはカリウムです。

暑い中東原産の植物なだけあり、体を程良く冷やし、多すぎるナトリウムを排出するのに役立ちます。利尿を促し、高血圧の改善も期待できます。

他には糖質の代謝を促しエネルギーを生み出すビタミンB1、皮膚や粘膜を強化するビタミンB2、脳神経の正常化に欠かせないナイアシン、貧血予防と細胞分裂に欠かせない葉酸、強い抗酸化作用のあるビタミンCなど、様々な効能があります。

他にもカルシウム、リン、鉄、マグネシウムも含まれ、野菜としても優秀なハーブです。

種にはカルボン、リモネン、キトンサン配糖体などを含み、リラックス作用や母乳をたくさん出す作用が期待できます。

胃腸の調子を整え、腸内に溜まったガスを排出する作用も。食べ過ぎに良い効果をもたらします。

美容方面では、爪の強化にも役立ちます。爪に栄養を与えると言われ、ネイルサロンなどで使用されることがあります。

古代ギリシャ人は、しゃっくり止めの薬としても使用していました。しつこく続くときは試してみてはいかがでしょうか。

利用方法と注意

ハーブティー

母乳促進には、タンデライオン(西洋たんぽぽ)と混ぜてハーブティーにすると良いと言われています。
タンデライオンにも母乳の出を良くする作用があるため、相乗効果が期待できます。
胃もたれには、バジルパセリと併せて摂取しても高い効果が期待できます。

料理

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北欧料理には欠かせないハーブで、特に魚料理に使われます。

スモークサーモンの上に飾るのは有名ですが、肉や卵料理からサラダ、スープなどにも使われます。
種や花はピクルスの風味付けに欠かせません。ビネガーやオイルに浸すこともあります。

レシピ

フェンネルに近い植物ですが、背丈はフェンネルより低いので、並べると見分けることができます。
味も少し異なり、葉を噛むと、フェンネルは爽やかな香味に加え、独特の甘みを感じます。

ディルのキャロットサラダ

ディルには多くのレシピがありますが、人参と合わせると強い抗酸化作用が期待できます。
若々しい身体づくりに役立つでしょう。

にんじんはできるだけ細い千切りにします。
ボウルに調味料をすべて入れ、その中ににんじん、ディルの順に混ぜて冷蔵庫で1時間ほど冷やして完成です。
サラダにしても良いですが、パンに挟んで食べても美味しいです。

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栽培について

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日当たりに恵まれた地域なら簡単に育ち、日本でも千葉県や三重県、長野県、群馬県などで栽培されています。

一日じゅう日が当たる場所を好み、高温の環境が不可欠です。少しでも日陰になると成長が悪くなるため、育てる場所には十分気をつけましょう。

移植に弱いため、種を直播きするのが良いと言われています。

育て方

育て方は簡単ですが、日当たりと支柱を立てる土台づくりは欠かせません。基本的に、3~5月前半ごろと、9~10月ごろに種まきを行います。

畑で育てる場合は畝を作り、支柱を立てる環境を作ります。プランター栽培の場合は、支柱を立てる穴が開いている鉢を選びましょう。

ある程度育ったら間引きを行い、株間を30cm間隔に広げます。

少し湿り気があるくらいの土地を好むため、水は切らさないように与え続けましょう。

生長したら2週間に1回ほど液肥を与えます。

葉だけを収穫したい場合は、20cmほど育ったら刈り取ります。ディルシードを採取したい場合は、花が咲くまで育てましょう。開花は4月後半~7月後半ごろです。

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花が咲くと葉や茎は固くなるので、生で食べることはできません。

秋蒔きの株は花が咲くまで期間が長いため、大きな株に育ちます。その間、葉などを採取して長い間収穫できます。

春蒔きの株だとすぐに花を咲かせるためコンパクトな株になりますが、葉を利用できる期間はわずかです。

利用方法により、春蒔きか秋蒔きを選ぶと良いでしょう。

注意点は、近縁種のフェンネルをそばに植えてはいけないことです。

どちらもセリ科植物で交配しやすく、しかも交雑種は薫りが悪くなるなどして作物としての価値が下がってしまいます。

アゲハチョウが主な害虫で、特に好んで卵を産んでしまいます。幼虫は見つけ次第駆除してしまいましょう。

エピソード

名前の由来はヨーロッパ民族の一つ、ゲルマン人の言語の古ノルド語で「宥める」「和らげる」という意味の「ジーラ」が語源です。
当時のゲルマン人たちはディルに鎮静作用があると考え、興奮する赤ちゃんに与えて寝付きを良くしたり、胃痛の軽減などに用いられていました。

古代4大文明の一つ、メソポタミア文明の石版にも刻まれていたハーブで、紀元前3000年前から古代シュメール人は薬用として利用していました。
メソポタミア文明は現在のイラン、イラク付近のユーフラテス川沿岸に興り、(当時としては珍しく)文字を持つ文明でした。
粘土の板に先のとがった棒で文字を刻み、乾かして保管していました。紙に比べて場所は取りますが火事などに強く、多くの文献が発掘されてメソポタミア文明の詳細が明らかになりました。
膨大な文献の中には医学に関する資料があり、薬草の記述は200種類に及びます。その中にディルが入っていました。

最古の使用は古代エジプトで、紀元前5000年ごろと考えられています。
古代ローマ人がヨーロッパに伝えたことでも知られ、イギリスに残るローマ時代の廃墟からディルの痕跡が発掘されています。やがてヨーロッパでも使用され、中世には魔よけの効果があったと考えられていました。

ユダヤ教のタルムードに登場し、税の1割をディルの種や葉で支払うように定められていました。聖書にも登場し、パリサイ人がディルなどのハーブで税を払っている描写があります。
古代から重用されていたハーブであることが、これだけでも推測できます。

花言葉は「知恵」

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