山椒の栄養と効能について。育て方~実のアク抜き方法

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山椒は古代から日本人に愛される伝統のスパイス。ぴりりと辛い、鼻を抜ける風味は他のスパイスにはない独特のものです。
うなぎの蒲焼きの薬味には欠かせません。
若葉は煮物の彩りなどに用いられ、大変良い薫りがします。

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特徴

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ミカン科サンショウ属の落葉低木です。古語では「はじかみ」と呼ばれていました。
現在はショウガのことを指しますが、区別するために「ふさはじかみ」「なるはじかみ」と呼ばれることもあります。
英語ではJapanese pepperと呼ばれ、フランスの高級フレンチなどを中心に認知度が上がっています。

イチョウのように雄株と雌株に分かれているのが大きな特徴で、山椒の実は雌株だけが付けます。
(栽培品種の「朝倉山椒」は雌雄同体)
鋭い棘があり、実や若葉を採取する際は注意が必要です。朝倉山椒など、棘のない品種も普及しています。
葉は長さ10cmほどで、葉の裏に油点という油脂が溜まった部位があります。これを潰すと山椒独特の芳香が漂い、食欲をそそります。

山椒は沖縄などを除いた日本各地(北海道~屋久島まで)と、朝鮮半島の南部に自生しています。
サンショウ属は温帯から熱帯に分布し、250種類ほど確認されています。
花椒(かしょう・ホアジャオ)で有名なカホクザンショウもサンショウ属の一つ。花椒は果皮を乾燥させたものが原料です。

効果・効能

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※山椒の実。乾燥させて細かく砕いたものが粉山椒

山椒の実は舌をしびれさせ、ピリリと辛いのが特徴。しかし、これはトウガラシなどの辛さとは異なるものです。
山椒の辛味については2008年、カルフォルニア大学の研究で面白い結果が発表されました。山椒の刺激物質は舌の触覚神経を興奮させる作用があり、味覚を鋭くする作用があることが突き止められました。
まるで「舌に電流が流れている」ような状態になるため、その感覚が「辛い」と認識されているのです。
舌の神経は大脳皮質に繋がり、味覚を判断します。山椒で活性化された味覚は大脳皮質を刺激し、味覚が鋭くなると考えられています。

そのため、減塩食の味わいを深くし、過剰な塩分摂取を控えることができます。味気ない減塩食も、山椒をふりかけるだけで塩味が付いたような錯覚を覚えます。
味が薄い牛乳にも、ほんのわずかの山椒を加えるだけで濃いミルク味に感じます。肉料理だけでなく、乳製品、卵、デザートなどにも合います。

この刺激成分の成分は「サンショオール」「サンショアミド」。
これらは大脳を刺激することで胃腸の機能を向上させ、活性化させる効果があります。代謝を促進し、発汗作用もあります。
鎮痛効果があり、打撲やねんざの治療に使用されることも。寄生虫を駆除する働きも期待できます。
漢方薬の生薬としても有名で、お腹の冷えを改善する「大建中湯」などにも含まれています。
これらの作用があるため、塗り薬の苦味チンキや、正月に飲む屠蘇にも含まれています。

薫り成分は主にゲラニオールという精油から発しています。他にもジペンテン、シトラールなどを含み、複雑な薫りを生み出しています。
栄養価にも優れ、カルシウム、鉄、ビタミンB群、Eなどが含まれています。

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利用方法と注意

実山椒は佃煮、山椒味噌、塩漬け、醤油漬け、オイル漬けなど、様々な調味料に加工できます。
ここでは特に家庭で使うことが多い、未熟な青い実山椒について紹介します。

地域によって異なりますが、5~7月ごろにスーパーなどで青い実山椒が流通します。
アク抜きをして塩漬け、ぬか漬けの原料、佃煮などに加工します。1年分の実山椒をあく抜きして、冷凍保存することも可能。
使い方は簡単で、使う分だけ解凍して、魚を煮る鍋に入れると深い味わいが楽しめます。

山椒のあく抜き

まずは、きれいな青い実山椒を手に入れましょう。色が黒ずんでいるものは古いので、できれば控えます。
小枝などを取り除き、大きな鍋に湯を沸かします。
沸いたらティースプーン1杯ほどの塩を加え、実山椒を入れます。
茹でる時間は30秒ほど。すぐにザルに上げて水に晒します。

佃煮にするなら、1~4時間ほど水に晒し続けます。途中で何度か水を入れ替え、時々味見をします。
お好みの辛さになるまで漬けておきましょう。
ぬか床用の場合は10分くらいで上げます。

水から上げた実山椒はよく拭いて水分を切り、ラップで小分けにして密封袋に入れます。
できるだけ空気を抜いて冷凍することで、最長1年くらい保ちます。解凍、または凍ったまま使えます。

粉山椒はすぐに薫りが飛んでしまいます。
こちらも密封して冷凍することで長期間保存が可能。出来るだけ山椒は冷凍保存しましょう。
刺激が強いので、妊婦さんが過剰に摂取するのは控えましょう。

育て方

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※山椒の若い実↑

家庭菜園での栽培は比較的簡単で、園芸店で苗がよく販売されています。
初めての栽培なら、朝倉山椒がお薦めです。雌雄同体で1株でも実を付け、棘がないため、利用しやすい品種です。

山椒は種から育てることもできます。9月ごろに採取した実から種を取り出し、種苗ポットに秋ごろか翌年の3月ごろに植えます。4月ごろに芽を出すので、本葉が2~3枚出るほど成長したら鉢植えか、地植えにします。
山椒は根が弱く、環境の変化に弱い植物。地植えの場合、定植したら植え替えはできないので、よく考えて植えましょう。
鉢植えは根詰まり防止のため、数年に一度植え替えます。植え替えは葉が落ちた12月~3月ごろに行い、ひと周り大きな鉢に植え替えます。
根は崩さずに、そのまま植え付けましょう。
栄養分が多い土壌を好むため、赤玉土5に対し腐葉土4、川砂またはパーライトを1割ほど入れます。
地植えの場合は、腐葉土や堆肥を掘った土の2~3割混ぜ込んでおきましょう。

春から夏にかけて枝を伸ばし、その中でも短い枝に花を付けるのが特徴です。
3~4月に開花し、7月ごろに実を付けます。9月ごろに実は成熟し、中が弾けて種が飛び出します。
7月ごろの若い実は煮て佃煮に、完熟した9月ごろの実は、皮を乾燥させてミルで曳くと香辛料の山椒になります。
山椒はとても薫りが飛びやすいのですが、密封して冷凍すれば長期間保存できます。

アゲハチョウの幼虫が天敵で、苗なら丸裸にされてしまいます。アゲハチョウの食欲は凄まじいので、見つけ次第駆除しましょう。
少し環境が変わると、ある日突然枯れてしまうことも。突然死しやすい植物なので、植え替えには十分に気を付けましょう。

エピソード

日本では最古のスパイスと考えられ、縄文時代の遺跡から山椒の実が入った土器が出土しています。
古来から香辛料、薬の原料に使われていました。日本料理では、柚子に並ぶ二大香辛料とされています。

古語で「はじかみ」と呼びますが、これは「はじかみら」を縮めた言葉と言われています。
「はじ」は弾ける実、「かみら」はニラの古語です。山椒の実の味がニラに似ているとされていることが名前の由来です。
他にも「サンシュ」「ヤマサンショウ」と呼ばれることもあります。
現在の「はじかみ」は、主に焼き魚の彩りに使われる芽ショウガの酢漬けを指します。

実や若葉を香辛料にすることが有名ですが、硬い枝や樹皮も利用されます。
枝は硬くしなやかで、山椒独特の薫りが含まれています。抗菌作用もあるため、すりこ木の原料になります。
すり鉢で擦ることで、すりこ木も少しづつ削れて薫りが移ります。
もし置き場所があるなら、すりこ木は野球のバットくらいの大きなものを選びましょう。力を加えずに胡麻などを擦れるので、毎日すり鉢を使う方にはお勧めします。
巨大な山椒のすりこ木は、一生ものの宝になります。

若い枝の皮は「辛皮」(しんぴ)というお茶漬けの具になります。山椒の若い枝の皮を剥き、水に晒してアクを抜きます。刻んで醤油で煮る、または塩漬けにしたものです。
僧坊などで重宝されていました。

花を食用にする地方もあります。花の加工品を「花山椒」といい、当座煮(佃煮よりは薄味の、甘辛い煮付け)や料理の彩りなどに用いられます。

現在、日本で栽培されている品種は朝倉山椒が主流です。
朝鮮半島から兵庫県養父群に伝えられたと言われ、棘がなく、雌雄同体なので実を付けやすいのが特徴です。
実が大きく薫り高いのが特徴で、天皇への献上品や大名の御用品として重宝されてきた歴史があります。
山椒の芽は各地で利用されていましたが、商品化されたのは明治20年ごろから。商品化した愛知県海部群は、現在でも全国有数の山椒の生産地です。

2012年ごろからフランスやモナコなど高級レストランで山椒の利用が進んでいます。
西洋の香辛料にはない独特の風味が好評で、肉料理やお菓子の原料に使われています。

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