近年、日本で最も知名度を挙げたハーブティーはルイボスティーでしょう。
茶色い水色で、欧州では以前から紅茶の代わりとして楽しまれていました。25年ほど前から日本にも紹介され、痩せるハーブ、若々しい体を作るハーブなどとして売り出されています。
ダイエットやバストアップなどと謳われることもありますが、真実はどうなのか見てみましょう。
特徴
マメ科タヌキマメ連アスパラトゥス属の多年草です。
ルイボスという名は現地の言葉、アフリカーンス語のrooibosをそのまま使っています。
「赤い茂み」という意味で、その名のとおり落葉した葉は赤褐色に変化します。
南アフリカの代表的な自然保護区を抱えるケープタウンのセダルバーグ山脈一帯のみに自生します。
ルイボスが特異的なのは、セダルバーグ山脈以外の場所で育てても根付かない点です。
ルイボスは欧米ではコーヒーや紅茶に迫る人気作物なので、多くの人がルイボスを他の地域の栽培を試みています。しかし、現在のところ成功例はありません。
セダルバーグ山脈の一帯は乾燥地帯です。強烈な太陽光が降り注ぎ、湿度が低い地域です。昼と夜の温度差は30℃を越える、過酷な環境です。
乾燥した土にはミネラルが豊富に含まれ、ルイボスの成長を支えます。
ルイボスはこの特殊な条件下でしか育たず、この地域でしか栽培することができません。そのため、ルイボスティーは南アフリカを代表する作物の一つとして、大々的に輸出されています。
ヤブのような外見で、葉は乾燥を防ぐために細く固く進化しました。普段の葉は青く生い茂り、落葉する時には赤褐色に変化します。
この落葉した葉を集めて発酵、焙煎したものが、ルイボスティー(ルイボス茶)です。
一般的なルイボスティーは赤茶色ですが、未発酵まま焙煎した「グリーンルイボス」もあります。
効果・効能
ノンカフェイン、低タンニンの代表的な飲料です。
非常に多くの効能、効果があるとされるルイボスですが、どのような成分が含まれているのでしょうか。
栄養成分
豊富なビタミン
栄養価に優れ、ミネラルが非常に豊富です。マグネシウム、カリウム、カルシウム、リン、亜鉛、鉄、銅、マンガン、セレン、ケルセチン、ポリフェノールなどを含みます。
豊富なカリウムには利尿作用を促し、体のむくみを防ぎます。体内のナトリウムと結びついて排出する作用があるので、高血圧予防にも効果的。
マグネシウムは腸の水分を集める作用があり、便秘を解消する作用が期待できます。
亜鉛や鉄などの希少ミネラルが豊富で、栄養の偏りが原因の不妊にも効果が期待できます。
亜鉛はエストロゲンの活性化を促し、子宮内膜を厚くする効果があると言われています。アルギニンなど血流改善する成分を摂取すると、さらに内膜を厚くする効果が期待できます。
エストロゲンの減少で発症する更年期障害を緩和する効果もあると言われています。
女性ホルモンの活性化でバストアップの効果があるという声も。
さらに、ミネラルは体内のエネルギー発生を支え、代謝を上げる効果があります。代謝が上がればダイエット効果も増し、血流が改善、痩せやすい体を作ります。エネルギーを発生させやすくするため、冷え性の改善にも効果があります。
体が温まることで精神が安定し、安眠に導く効果も期待できます。
効率の良い鉄分の摂取にも効果があると言われ、貧血を予防します。
血流改善することで脳への血流が良くなり、頭痛の根治にも役立つと言われています。
抗酸化作用を持つスーパーオキシドジムスターゼ
ルイボスを有名にしたのは、SOD(スーパーオキシドジムスターゼ)という抗酸化作用成分です。
この成分は体内の活性酸素を取り除き、傷ついた細胞の修復を行うと言われています。長らくルイボスを飲んでいた現地の人々が若々しいのは、このSODの作用ではないかと言われています。
アンチエイジング作用があり、皮膚のターンオーバーを促進する作用もあるため、肌荒れ改善も期待できます。
さらに、活性酸素が原因と言われるアトピーや花粉症などアレルギー症状の緩和、肝臓機能の強化、二日酔いの緩和、生理痛の緩和、加齢臭の予防などに効果があると言われています。
免疫力を高めるので、水虫の根治にも間接的に作用するとされます。
ピニトール
ルイボスティーに含まれる「ピニトール」という成分は、インスリンに近い働きをする成分です。そのため食後血糖値の上昇を穏やかにし、血糖値を安定させる効果があると言われています。
そのため糖尿病や通風の症状緩和に効果が期待できます。
低タンニンとカフェイン
紅茶などに多く含まれるタンニンは6.5%ほどで、紅茶に比べても少ないのが特徴。
タンニンは栄養の吸収を阻害する働きがあり、茶葉に多く含まれます。茶葉には多くのカフェインがありますが、タンニンはカフェインを過剰に体内に吸収するのを抑えます。
コーヒーのほうが紅茶より眠気覚ましになると考える方が多いのは、コーヒー豆にはタンニンが含まれず、カフェインがダイレクトに体内に入るためと考えられます。
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利用方法と注意
飲み方と副作用
バストアップなど様々な効能があると言われていますが、ルイボスティーは魔法の薬ではありません。
日々の生活や、元からある体質を短期間で改善するものではありません。1日3杯ほどを目安にして、適度に摂取しましょう。
妊婦さんに良いと言われるルイボスティーですが、妊娠初期は1日3杯までに抑えたほうが良いと言われています。
理由は、ルイボスティーに含まれるタンニンのため。
タンニンは栄養の吸収の邪魔をしますが、特に葉酸の吸収を阻害する作用があるとされています。
葉酸は細胞分裂を助ける働きがあり、胎児の健やかな成長に欠かせません。特に、妊娠初期には多くの葉酸が必要です。
茶に比べるとタンニンは少な目ですが、過剰に飲まないように気をつけましょう。
授乳中は多くの水分を補給する必要があります。ルイボスティーで水分補給をすると、様々なミネラルも同時に摂取できます。
選び方
「ルイボスティーは薬臭い」「違和感がある」という声もあります。その場合は高クオリティの商品か、グリーンルイボスを飲むことをお勧めします。
グリーンルイボスはクセが少なく、大変飲みやすいのが特徴です。あまり流通していませんが、通販や茶葉専門店で取り扱っています。
通常のルイボスティーにはランクがあり、最高級品の「クラシック」はアクが少なく、ルイボスティーの美味しさが凝縮されています。
紅茶や緑茶と同じように、ルイボスティーもランクによって味は異なります。少々高額になりますが、クラシックがお勧めです。
無理して美味しくないと感じるものを飲むとストレスで、かえって活性酸素を増やしかねません。無理せず、美味しいと思うルイボスティーを探してみましょう。
現地ではミルクティーなどにして飲む習慣があり、様々なアレンジがあります。
はちみつなどを入れると美味しいという意見も。
もともとルイボスは害虫が付きにくく、無農薬栽培しやすい植物です。有機JAS認定は手続きが面倒なので行わない業者も多いですが、多くのルイボスティーは無農薬で栽培しています。
ルイボスティーに関しては、有機JAS認証よりもクオリティを優先させるほうが良いでしょう。
効果的な飲み方
煮出し方は15分ほど煮沸するのが理想で、SODが最大限に抽出できます。
水出しする方法もありますがSODを摂取したいなら、必ず煮出しましょう。(味はあまり変わりません)
過剰摂取するとマグネシウム過多で下痢になることがあります。その際は飲む量を減らして様子を見ましょう。
ルイボスティーは、飲むだけでなく様々なアレンジができます。
パックに浸して顔に直接パックする、煮出したルイボスを風呂に入れてルイボスティー風呂や足湯をする、ガーゼに浸して肌荒れの部分に当てるなど、様々な方法で活用できます。
ポリフェノールの色が色移りしやすいので、使い終わった風呂窯などは丹念に洗いましょう。
栽培~ルイボスティーが出来るまで
ルイボスの栽培は数年がかりで行われます。
2~3月に種をまき、6~8月ごろまで種苗ポットで育てます。10~20cmくらいに成長したら、農園の畑に植え変えます。
さらに2年ほどで50~150cmくらいに成長したら収穫できます。青い葉を刈り、同時に剪定作業を行います。
刈り取ったルイボスは葉と他の部分に分け、葉を30~35℃の環境に8時間ほど寝かせます。この行程で発酵が進み、色が赤褐色に変化します。
発酵が終われば天日乾燥させ、さらに蒸気で蒸して殺菌消毒を行った後に乾燥機にかけて完成します。
エピソード
ケープ地方の先住民、コイサン人は身近なルイボスの効能を熟知していました。
薬草の一つと考え、ルイボスの落ち葉を集めて発酵させたものを飲む習慣がありました。
コイサン人は若々しい方が多く、ルイボスを飲まない他の人々に比べて老化が遅いという特徴がありました。そのため、「ルイボスには不老長寿の効果がある」と言われるようになりました。
南アフリカに移入したオランダ人は、紅茶代わりにルイボスを飲む習慣がありました。
現在のように販売が始まったのは20世紀初頭からです。南アフリカに移入したロシア移民が販売を始めたとされ、欧米では100年近い伝統があります。
日本に紹介されたのは25年ほど前と言われています。
味や風味が独特なのもあり、当時はあまり浸透しませんでしたが、妊活やダイエット、肝臓の強化、美肌や便秘解消など美容効果、アトピーなどアレルギー症状の緩和などに効果があると言われ、徐々に浸透しています。
現在は大手飲料メーカーがペットボトルを販売し、コンビニなどでも簡単に買うことができます。無印良品では定番商品のグリーンルイボスのペットボトルが販売されています。
ルイボスティーの歴史は古いですが、グリーンルイボスが作られるようになったのは2003年ごろからと言われています。
日本の緑茶をヒントに作られ、色も淡い青色です。
通常のルイボスティーよりクセがなく、さっぱりした味わいが特徴です。
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