フェンネルは、最近は高級スーパーなどで見かけることが増えてきた野菜の一つです。
新タマネギのような白くて丸い茎に、繊細な葉を付けた茎が伸び上がっています。
観葉植物のような独特の姿ですが、白い茎は甘くて独特の薫りが楽しめます。
種のフェンネルシードはクミンにそっくりで、スパイスの原料になります。
名前しか聞いたことがない人もいるかもしれませんが、日本でも古来から根付いている地域も。どのような植物か、さっそく見てみましょう。
特徴
フェンネルは、セリ科ウイキョウ属の多年草です。
和名はウイキョウ(茴香)、またはショウウイキョウ(小茴香)。
草丈は1~2メートルに達し、糸のような繊細な葉を付けます。6~8月に花を付け、秋ごろに種を実らせます。
地中海原産で、人類が栽培した作物の中で最も古いものの一つに数えられます。
薫りが強いスイートフェンネル(ウイキョウ)、茎が丸く育ち、生で食べられるフローレンス・フェンネル(イタリアウイキョウ、イタリア名はフィノッキオ)などの品種が有名です。
効果・効能
※フェンネルシード↑
独特の薫りの主成分はアネトールといい、スターアニス(八角)やアニスに近い薫りがします。
魚と相性が大変良く、魚の臭いや脂っぽさを軽減する作用があり、東洋、西洋とも愛されています。
消化を助け、胃腸のガスや便秘を取り除く作用が期待できます。
ダイエットにフェンネルが効果的、という話を聞いたことがあるでしょうか。
フェンネルには利尿作用や発汗作用があるため、体に溜まったよけいなものを排出することが期待できます。
食欲を抑え、痰を取り除き、むくみ取りの効果もあると言われています。
痙攣を和らげ、眼精疲労、女性ホルモンの活性化など、様々な効能があるとされています。
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利用方法と注意
妊婦さん、てんかんの持病がある方は使用を控えましょう。
フェンネルはソーセージに混ぜたり、ケーキの風味付けなど、様々な料理に活用できます。
たっぷりある葉は、そのままハーブティーにも。
多すぎる葉は冷凍保存もできます。適当なサイズに切り、密封袋に入れて冷凍庫で急冷すれば、いつでも使えます。生に比べて若干色あせますが、いつでも風味を楽しめます。
栽培・育て方
フェンネルは鉢や路地植えで栽培することができます。
路地で育ったフェンネルは四方八方に繊細な葉を伸ばすため、巨大なマリモのようなユニークな姿をしています。
春と秋が植え付けシーズンで、春は3月下旬から4月、秋は9月下旬から10月ごろに種を蒔きます。
フェンネルはセリ科のため、同じセリ科の人参と同じく、一本の根を深く下ろす習性があります。畑は深く掘り、根を伸ばしやすくしておきましょう。
60cm以上間隔を開けて栽培します。一度でも地植えをすると、植え替えることはできません。
日当たりの良い、水はけの良い土地を好みます。水は乾燥したら、たっぷり与えましょう。
どんどん葉が込み合うため、風通しを良くするために適時、葉や茎を間引きます。間引いたものは作物として活用できます。
根もとがゴルフボールくらいに成長したら、土寄せを行います。
これで根元は白く柔らかくなり、おいしく食べることができます。
草丈が高くなるため、ある程度育ったら支柱を立てて保護しましょう。
霜が降りると草は枯れますが、根は残ります。翌年、再び芽を出して成長するため、寒い地域は根が凍結しないように腐葉土などで保護しましょう。
フェンネルの育て方で、最も気を付けることは、他の植物との相性です。
コリアンダー、トマト、豆類の成長を邪魔するため、必ず遠ざけて植える必要があります。
さらに近縁種のディルと交配しやすいため、種を採取するならディルを近づけてはいけません。
交配した種は薫りが劣る株になってしまい、作物としての価値が下がってしまいます。
開花時期にカメムシの被害に遭うことも。できるだけ事前に対策を施しましょう。
エピソード
フェンネルは古代エジプトの時代から栽培され、古代ローマでも愛されてきた野菜(ハーブ)です。古代ローマでは、強壮剤として用いられていました。
中世ヨーロッパでも盛んに活用され、視力を改善し若返り効果があると信じられていました。
咳止め、消化促進の効果があるとされ、家庭の常備薬として親しまれていた記録が残っています。
日本には平安時代に渡来し、富山県、長野県、岩手県、沖縄県などで栽培が続いています。
馴染みがない地域では最近入ってきた野菜と思われそうですが、実は古代から日本でも一部地域で根付いています。
沖縄では整腸作用がある作物として珍重され、魚料理の臭い消し、薬味などに用いられています。
フランス料理のブーケガルニ、中国料理の五香粉にも含まれ、現在でも世界的に親しまれているハーブです。
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