ルバーブは日本ではあまり馴染みのないハーブですが、欧米ではジャムやソースの元になる野菜として人気があります。
ルバーブジャムは日本の高級スーパーでも販売していることがあり、黄金色の酸味と甘味が絶妙の風味が楽しめます。
しかし、どんな姿の植物なのかは見たことがない方も多いのではないでしょうか。いったいルバーブとは、どのようなハーブなのでしょう。
特徴
ルバーブはタデ科ダイオウ属の多年草植物です。和名はショクヨウダイオウ(食用大黄)。
「タデ喰う虫も好きずき」という言葉があるとおり、タデの葉はシュウ酸が多くて渋みが強く、多くの虫は食べることができません。
タデがシュウ酸を豊富に含むのは、害虫から身を守るためです。
しかし人間は知恵と工夫で、このクセの強い植物を食べるようになりました。
ルバーブはお面になりそうな巨大な葉を付けます。人間が食べられるのは、茎の部分。
鮮やかな赤い茎には独特の酸味があり、カリウムも豊富です。
この茎だけを切り取り、輪切りにして砂糖と煮詰めてジャムやソースに加工します。
育て方
ルバーブは、苗から育てると比較的簡単に成長します。しかし、かなり大きくなるため鉢で育てる場合は気を付けましょう。
畑で育てる場合は連作障害があるため、一度植えた場所には数年植え付けないようにします。
ルバーブの苗は種苗店で購入できます。3~4月に、畑か10号以上の鉢に植え付けます。
日当たりの良い場所に植えてあげましょう。複数植え付ける場合は、1メートル以上離して植えます。
4~7月ごろに白い小さな花をたくさん付けますが、葉の生育を妨げるため、花芽の段階で摘んでしまいましょう。
葉茎が30cmくらいに成長したら収穫できます。しかし欲張って取りすぎると株が弱ってしまうので気を付けましょう。
年に2度ほど追肥を行えば良く、放置していても比較的元気に育ちます。
ドロ跳ねには弱いため、根本にワラなどを敷いてあげましょう。
病害虫にはとても強いため、基本的に対策は不要です。しかし完全無農薬だと、まれに茎の中で害虫が潜り込むことがあります。
夏の暑さには弱いため、南国では栽培に向きません。高原や北国のような地域に適しています。
冬の寒さにはとても強いので、畑ならそのまま放置しておいても構いません。
数年で畑や鉢から掘り起こし、株分けをしましょう。放置すると葉が込みすぎて良い茎が収穫できなくなります。
種から栽培することもできますが、収穫できるまでに2年もかかります。
エピソード
ルバーブの故郷はロシア南部からチベットにかけて。
チベットなどの高地には巨大な白い塔のような高山植物、セイタカダイオウが自生しています。
荒涼とした高地に堂々と生えるセイタカダイオウの姿は存在感があり、植物の生命力を感じさせます。
中医学や漢方では、近縁種のダイオウ(大黄)の根が下剤として利用されています。
市販の漢方系下剤薬には必ず含まれている生薬で、とても作用が強いのが特徴。「漢方薬は弱くて穏やか」という先入観を壊すほどの力があります。
子宮の収縮作用が強いため、妊婦さんはもちろん、妊活中や授乳中は服用してはいけません。
ルバーブには豊富なカリウムが含まれています。カリウムは肉食で体内に取り込まれすぎたナトリウムを排出するには欠かせません。
ヨーロッパに流入したのはルネサンス時代と言われています。それ以来、肉食のヨーロッパ人の健康を支えています。欧米ではジャムだけではなく、肉の付け合わせのソースにも利用されます。
日本には明治時代に輸入されました。長野県の信州では宣教師が定植したことが興りで、現在はブルーベリーと並ぶ名産品として売り出しています。
効能・効果
ルバーブはカリウムが豊富で、食物繊維もたっぷり。
そのため肉食が多い方、便秘気味の方にはぴったりのハーブです。豊富なカリウムが肉のナトリウムと結びついて排出し、食物繊維とセンノシドという下剤成分が、穏やかな便通を促します。
カルシウムやカロテンも比較的多めに含まれています。
美容効果が高いとされ、積極的に食べる女性もいます。しかし女性が摂取する場合は、注意も必要です。
ルバーブには、センノシドという下剤成分が含まれています。
大部分は根に含まれていますが、茎にもわずかに含有しています。
センノシドは子宮を収縮する作用があるため、妊娠中は口にしないようにしましょう。
母乳の中にセンノシドが入り、赤ちゃんが下痢を起こすこともあります。赤ちゃんが断乳するまでは、ルバーブは止めておきましょう。
可食部の茎にもシュウ酸が含まれているため、胆石や尿路結石が出来やすい人は注意しましょう。
どうしても食べたいときは、カルシウムと一緒に摂取すると良いでしょう。
シュウ酸はカルシウムと結びつきやすいため、体内に取り込むのを防ぎ、排出を手助けしてくれます。
利用方法と注意
酸味の強いルバーブは、ジャムにするのが一番。
砂糖の量はお好みで付けて下さい。砂糖が多ければ酸味と甘味のハーモニーが楽しめ、砂糖が控えめなら酸味の強いジャム(スプレッド)になります。
常温保存する場合は、砂糖をルバーブの重量の50%以上添加します。
ルバーブジャムのレシピ
ルバーブジャムのレシピはとてもシンプル。基本は「ルバーブの茎」と「砂糖」だけです。
- ルバーブの茎 250gほど
- 砂糖 100gほど
(お好みで、レモン汁1/8個分)
ルバーブの葉を取り除き、茎を輪切りにします。皮は剥かずにそのまま輪切りにしましょう。
ホウロウの鍋かプラスチック容器に入れ、砂糖50gと混ぜ合わせて放置します。しばらくすると水が上がってきます。
十分に水が出たら、火にかけましょう。酸味が強いため、鉄鍋で煮ると色が黒くなります。ホウロウ鍋かガラス容器で煮沸しましょう。
アクを丁寧に取り除き、ルバーブが煮くずれてきたら残りの砂糖とレモン汁を加えます。
さらに、5~10分ほど煮込めば完成です。煮沸消毒した瓶に入れて保管しましょう。
低糖ジャムは腐りやすいので、必ず冷蔵保存し、早めに食べ終わりましょう。
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