オーストラリアでコアラが食べることで知られるユーカリは、葉に毒を持つ巨木です。
コアラは特殊な進化でユーカリを消化することができますが、人間も知恵と工夫でユーカリを利用しています。
ここではユーカリの薬効や育て方を見てみましょう。
特徴
ユーカリはフトモモ科ユーカリ科の総称。オーストラリアではすべての樹木の4分の3がユーカリ科の植物です。
生育がとても早く、土壌改善の植樹や木材の使用、紙パルプなど様々な用途で利用されています。
大変有用な樹木のため過剰伐採が進み、オーストラリアの動物たちが危機に瀕していると言われています。
ユーカリは多種多様な環境に適応する樹木で、乾燥地帯を好む種類、湿地を好む種類など、個性溢れる品種です。直系では500種類、変種を含めると1000種類もあると言われています。
ユーカリの葉はテルペンという揮発性の物質を放出します。乾燥した時期に近所で稲妻などが発生すると、テルペンを含んだ空気に引火し、たちまち山火事を起こします。
ユーカリは樹皮だけが燃えやすい性質で、中身はある程度守ることができます。ユーカリは火事すら克服する植物で、大変荒っぽい方法でライバルを焼き尽くし繁殖する機会をうかがいます。
育て方
ユーカリの葉は柳のように細長いものが多いですが、観葉植物で有名なポポラスの葉はハート型。ブーケや切り花で人気があります。
ポポラスを含めたユーカリは、挿し木で簡単に育ちます。ただし急速に大きくなるため、こまめに剪定しないと手に負えなくなるほど巨大化します。
ハーブの中では扱いが大変で、中級程度に難易度が高い植物です。
秋に苗が出回るので、出来れば冬の時期に植え付けます。その際しっかり水を与えれば、あとは特に水を与えなくても成長します。
むしろ水が多すぎると枯れやすいので、気を付けましょう。
鉢植えには向かず、出来るだけ庭に植えてあげましょう。あっという間に大きくなるので、剪定は適時行います。
春と秋に肥料を与えると、生き生きと育ちます。
エピソード
オーストラリアの先住民アボリジニは、ユーカリを「キノ」と呼び、薬草として利用していました。ユーカリの葉を傷口に当てて、手当てしていました。
マラリア対策にも効果があり、ユーカリをたくさん植えることでマラリア退治に成功した地域もあります。
ユーカリは毒性があり、この毒が薬として利用されています。
近年では、伐採しすぎて荒廃した荒れ地を回復させるためにユーカリを植樹することが増えています。乾燥した地でも根付きやすく、すくすく育つので緑化にはうってつけ。
定期的に植樹と伐採を繰り返し、パルプの原料にするケースもあります。
日本には明治時代に輸入され、「空気清浄効果がある木」という触れ込みで広がったと言われています。
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効果・効能
アボリジニの人々が傷薬として利用しているユーカリは、消炎作用、抗菌作用があります。
傷の手当だけでなく粘膜の炎症、たとえば花粉症や風邪、インフルエンザ、間接痛などに効果があると言われています。
ユーカリの成分シオネールには高い抗菌、抗ウイルス作用があるため、風邪の予防にも役立つとされています。
さらに、シオネールには血行促進の作用もあります。肩こりや筋肉痛、手足の冷え、頭痛などを和らげ、血の巡りを正常化することが期待できます。
消臭作用もあり、口臭予防にも効果的。
防虫作用もあり、やっかいな寄生虫を追い出す効果も期待できます。肌に寄生し、鼻炎や喘息の原因になるダニ、ヒョウヒダニを追い出す効果が高いとされています。
精神面の作用もあり、気持ちを穏やかにし、集中力を高める効果も期待できます。勉強中にユーカリのアロマを焚くと良いでしょう。
利用方法と注意
ユーカリオイルには作用の強いユーカリ・グロブロス、副作用の少ないユーカリ・ラディアータ、レモンのような薫りのユーカリ・シトリオドラなどがあります。
ユーカリ・クロブルスは刺激が強いため、子供や妊娠中の女性、高齢者、気管や肌が弱い人は使用できません。
ラディアータは比較的穏やかで、年代を問わず使用できます。
どの品種でも、妊婦さんは使用しないでおきましょう。高血圧や、てんかんの持病がある人は控えたほうが無難です。
マグカップに熱湯を注ぎ、ユーカリオイル1滴を垂らして蒸気を吸い込むと、手軽にアロマが楽しめます。
ユーカリの刺激は強いので、周囲にユーカリに弱い人がいないことを必ず確認しましょう。
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