ドライフルーツ好きな方にはお馴染みのクランベリーは、北欧でよく食べられる小粒のフルーツ。
テレビの北欧特集で、森の中のクランベリーを採取する現地の方の姿を見たことがあるのでは?
一方で、知らない人は製菓材料でしか知らない、比較的マイナーな果物でもあります。
クランベリーはどのような植物か、さっそく見てみましょう。
特徴
クランベリーはツツジ科スノキ属ツルコケモモ亜属に属する常緑低木の総称です。
何種類かあり、特に有名なのはツルコケモモ、オオミノツルコケモモ(ベアベリー)、ヒメツルコケモモ、アクシバなど。
クランベリーは英名です。語源は鶴(Crane)の好物という意味ですが、花が鶴の姿に似ているという説もあります。
沼など水の多い場所に自生しています。
酸っぱいため生で食べるには向きません。ジャムやジュース、ソース、ドライフルーツなどに加工するのが一般的です。リキュールに漬けて果実酒にすることも。
樹高10~20cmほどの小さな木で、可愛い小さな葉をたくさん付けます。愛らしい姿なので日本でも観葉植物として出回っています。
しかし、暑さに弱いため寒冷地以外では実の収穫は期待しないほうが良いかもしれません。たとえ実っても味が劣ると言われています。
寒冷地以外での栽培はお勧めできませんが、もし栽培するなら出来るだけ涼しい場所に置きましょう。寒さには強いので、北海道などでは栽培に適しています。
植え付けは2~3月ごろに行います。同時に肥料も与えましょう。
午後は日陰になる環境で育てます。
追肥は鉢植えは2月、7月、9月の3回、庭植えは2月と9月に行います。5月には開花し、9月上旬に収穫できます。
環境が良ければ、小さな鉢でも簡単に育ちます。選定は通念行いましょう。
病害虫には強い植物です。
エピソード
クランベリーはアメリカのクランベリーソースが有名です。七面鳥のローストにかけるソースで、日本でもコストコの進出などで徐々に知名度が上がっています。
ソースに抵抗はあっても、クランベリーを乗せたパイなら美味しく食べられるでしょう。。
アメリカ先住民はこのベリーを「ibimi(ビターベリー)」と呼び、薬用や食用にしていました。
イヌイットはクランベリーの葉をタバコの原料として用いていました。
北米では干した鹿の肉に脂肪とクランベリーを混ぜて切り分けた「ペミカン」という保存食がありました。
非常食でもあり、素早く栄養補給できると需要が高く、旅人などに重宝されました。あまりに需要が高まりすぎて、ペミカンを製造販売する先住民と、貴重なペミカンを残しておきたい意図で輸出禁止をした入植者が戦争まで起こしてしまったほどです。
この戦いは先住民側が勝利しました。
カナダやアメリカでは大々的に栽培され、赤いクランベリーが海のように広がる光景も珍しくありません。
クランベリー畑は日本の田んぼのように水を張って作ります。酸性土を好むため、カナダやアメリカの酸性の強い沼地の栽培にぴったりです。
カナダやアメリカでは19世紀から栽培が始まり、現在は年間20万トンほど生産しています。
日本ではドライフルーツや冷凍などで細々と輸入されている程度ですが、外資系スーパーでは生のクランベリーを販売していることもあります。
加工品は砂糖が多いので、健康に気をつけたい時は自作でクランベリージャムを作ると良いかもしれません。
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効果・効能
クランベリーは膀胱炎を治す効果があるとされ、民間療法でクランベリージュースを飲むという治療もあるほど。
これは、ポリフェノールの一種「プロアントシアニジン」の作用によるものです。
プロアントシアニジンは抗酸化作用や抗炎症作用のある物質で、外敵から身を守るために発達させた毒です。
しかし、この毒も適量だと薬になることがあります。プロアントシアニジンは若々しい体作りに欠かせない栄養素です。
プロアントシアニジン(以下PAC)には2つの種類があり、茶、リンゴ、プルーンなどに含まれるB型と、クランベリーに含まれるA型があります。
A型には「細胞壁への細菌の付着を防ぐ」という作用があり、尿路感染症の改善に有効とされています。
尿路上皮細胞には糖タンパク受容体という鍵穴のような器官があり、大腸菌はこの鍵穴に無理矢理取り付いて増殖します。
PACはこの鍵穴に先に吸いつくことで、大腸菌が取り付かないようにガードします。
PACには殺菌作用はありませんが、大腸菌が細胞に潜り込むことを防ぐため、結果的に膀胱炎を改善、予防することができます。
殺菌作用がないため、抗生剤のように大腸フローラを荒らす心配もありません。
クランベリーはA型PACの含有量が多く、民間療法でも使えるのも納得できます。
B型を含む食品は比較的多いのですが、A型のように細菌付着を防ぎ、外に追い出す力はありません。
他にも胃がん予防、歯周病や口臭予防などにも効果があるとされています。
さらに、腎臓へのダメージを軽減するため、悪玉コレステロールの低下、血流促進、腎臓機能の向上などの効果もあるとされています。むくみ解消から悪玉コレステロールの低下まで、様々な効能が期待できます。
抗酸化作用も強く、ビタミンCの約20倍もの力があります。
肌の中でコラーゲンと結合することで、美肌効果もあると考えられています。
クランベリーの栄養素はPACだけではなく、アントシアニンも豊富に含まれています。
ブルーベリーに多い栄養素で、眼精疲労、肝機能の正常化などに効果があると考えられています。
豊富なビタミンCを含有し、食物繊維やカルシウムも含まれています。
利用方法と注意
クランベリーには安息香酸が含まれています。
天然の食品にも含まれているもので毒性は低いとされていますが、一部の学者はミトコンドリアDNAを傷つけ、肝臓障害やパーキンソン病を引き起こすと主張しています。
アレルギー反応を示すこともあるため、過食は避けましょう。
どの程度まで食べれば問題ないのでしょうか?
サプリメントは1日2回300~400mgまで、ジュースは250~500ccほどが摂取の限界とされています。
これより少な目を目安にすると良いでしょう。
市販のクランベリージャムやジュースには砂糖が多く添加されています。酸っぱい果実なので砂糖が多いのは仕方ないのですが、安心して食べられないのも事実。
自分でクランベリージャムを作ると安心です。
「クランベリージャム」
冷凍、または新鮮なクランベリー 1カップ
りんご果汁100%ジュース 1カップほど(様子を見て増やす
甘味料(砂糖、ラカント、アガベシロップ、蜂蜜、オリゴ糖などお好みで)大さじ5以上
材料を鍋に入れ、中火でじっくり煮込みます。とろみがついたら完成です。消毒した瓶に入れて保管しましょう。
ほかにも様々なレシピがありますが、ジャムにしておけば加工も簡単。膀胱炎などで困っている方はぜひチャレンジしてみませんか。
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