イチョウについて。葉や銀杏の効果・効能と副作用。

イチョウは中国にしか自生しない植物ですが、かつては北半球の一面に分布していた代表的な裸子植物です。

葉には非常に優れた効能があることが分かり、ますます注目されています。

特徴

イチョウってどんな植物?

イチョウなどの裸子植物は、約2億年前の中生代から新生代にかけて繁栄した植物です。かつては世界中に分布し、日本でも山口県などでイチョウの化石が発掘されています。
しかし1億年前ごろから被子植物の台頭などで徐々に衰退し、追い打ちをかけられるように度重なる氷河期に襲われます。その結果、ほとんどの裸子植物は絶滅しました。
しかし、わずか1種類のイチョウが中国東部に生き延び、現在は植樹という形で繁栄しています。
生き延びたイチョウも50万年前には絶滅寸前まで追い詰めらました。とてつもない受難を乗り越えた植物と言えるでしょう。

イチョウの葉は扇形をしています。葉脈は平行に走り、原始的な植物の特徴があります。
成長したイチョウの枝には気根と呼ばれる円錐の突起が垂れ下がります。これが乳房のように見えることから、神社仏閣で気根があるイチョウは安産子育ての神として、信仰対象になっています。

育て方

イチョウは庭木にすることもできます。寒さに強く、生命力が強いため育てるのは簡単です。
しかし放置すると20メートル以上にも成長する樹木なので、定期的な剪定は欠かせません。
種から殖やす方法と、挿し木や接ぎ木で育てる方法があります。挿し木のほうが確実に育ちますが、拾った銀杏から育てることもできます。

銀杏から育てる場合は果肉を外してすぐに蒔くか、翌年の3月に蒔きます。種苗ポットで育てると移植が楽です。
銀杏の果肉には成長を阻害する成分があるため、そのまま蒔いても育ちません。
挿し木は3~4月に、前年に育った若い枝を20cmほど切って土に挿します。とても簡単ですが、2年ほどはゆっくり生長します。

開花~実をつけるまで

イチョウの花は地味で目立ちませんが、4月ごろに開花します。風媒花で、雄は1キロ先まで花粉を飛ばし、受粉させる力があります。
受粉した実は半年かけてゆっくり育ち、10~11月に実ります。種が落ちた周辺はひどい悪臭が漂いますが、これは銀杏の果実に含まれるカルボン酸のためです。
庭木にするなら、銀杏を採取する目的がなければ雄の木のほうが賢明でしょう。
翌1~2月に肥料を与え、2~3月に剪定します。剪定は「武者立ち」というまとめ方が最適です。

効果・効能

血管拡張作用

イチョウ葉(特に、若いイチョウの葉や根)には非常に優れた効能があり、サプリメントなどに加工されています。
13種類のフラボノイドとギンコライドという成分があり、強い血管拡張作用があります。
これら動脈硬化を防ぎ、血流を改善する作用があります。冷え性に効果があると言われ、血流が原因の諸症状を改善する働きが期待できます。
血流悪化が原因の認知症、高血圧、耳鳴り、冷え、頻尿、神経痛、アレルギー、花粉症などの改善が報告されています。
血糖値の正常化やガン予防などの効果もあると言われ、中高年の方に人気があります。
脳内の血流も改善するため、頭がスッキリするという声も。受験勉強などで飲む方もいます。

脳機能改善効果

イチョウ葉の科学的な検証はドイツを中心に行われています。
ドイツの実験では、イチョウ葉エキスを摂取した1時間後に毛細血管の血流が57%も増加したことが判明しました。
脳血行障害を煩う患者99名にイチョウ葉エキスを3ヶ月摂取させたところ、平均72%の脳機能が回復しました。
記憶力の改善にも効果があり、アルツハイマー型認知症でもフラシーボに比べて3倍もの改善効果が見られました。

その他

中国ではイチョウ葉を呼吸困難の改善、記憶力の回復などの効能がある生薬として利用しています。

SPONSORED LINK

利用方法と注意

アレルギー物質が含まれます

イチョウ葉はギンコール酸というアレルギー物質が含まれています。そのため、イチョウ葉をそのままお茶などにするのは控えましょう。
日本でもイチョウ葉サプリが数多く生産されていますが、日本の法律ではギンコール酸の除去は義務ではありません。必ず「ギンコール酸を除去した」に類する表示のあるものを選びましょう。
アメリカやEUで作られたサプリメントは、ギンコール酸は除去されています。安価で高い効能が期待できる、海外産のサプリを選ぶのも一つの選択です。
イチョウ葉サプリは、8週間以上摂取しないと目立った効果が現れにくいと言われています。副作用がなければ、できれば3ヶ月以上は摂取し続けましょう。

銀杏の食べ過ぎ注意

銀杏にはサポニンが多く含まれています。ホクホクした食感で美味しいですが、食べ過ぎると吐き気や眩暈などを起こします。
多くても、銀杏は1日数個程度に留めましょう。

イチョウ木のまな板

イチョウの木材は防腐作用があり、まな板などに加工されます。
雌の木で作られたまな板は銀杏独特のあの臭いがあるため、苦手な方は購入前に確認したほうが無難です。

エピソード

非常に珍しい裸子植物のため、エピソードには事欠きません。
イチョウが記録されたもっとも古い記録は、栄の時代の中国に残っています。政治家で文学者の欧陽脩という人物が、珍しい果実の一つとして紹介しています。
絶滅寸前だったイチョウが再び繁栄するためには、人の手を借りる必要がありました。800年前に日本や朝鮮半島に植樹され、さらに17世紀後半には日本からヨーロッパに移植されました。
ヨーロッパに移植されたイチョウは瞬く間に人気者になり、わずか数十年でヨーロッパ中に広がりました。現在は主に街路樹として、温帯の都市部を中心に広く普及しています。

イチョウは生命力が強く、害虫を寄せ付けず、大気汚染にも強く、剪定されてもどんどん伸びます。
イチョウの幹に含まれる成分は火が点きにくいため、都市部の火災の広がり防ぐ防御壁にもなります。
しかも秋に色づく葉は美しく、実は銀杏として食べることができます。欠点らしい欠点は銀杏の果実の臭いが厄介なくらいで、非常に有用な植物と言えます。
そのため、街路樹で最も多く採用されているのがイチョウです。大阪の道頓堀や東大キャンパスなど、イチョウの街路樹が名物の地域は無数にあります。

非常に長命な樹木で、神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮のご神木だった大銀杏は、2010年に倒れるまで800年以上生きていたと言われています。
現在は倒れた木から芽が出て、再生に向けた取り組みが続いています。
鶴岡八幡宮以外にも、日本各地には大銀杏があり、天然記念物などに指定されています。

「東アジア原産の植物」のため、東京大学や大阪大学などでは校章(または校章に準じるマーク)として、イチョウの葉がデザインされています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です