ダイエットに良い、花粉症に効果がある、などと謳われている杜仲茶は、日本でもすっかりお馴染みになりました。
本来は中医薬の一種で、中国以外ではあまりなじみのないハーブティーでした。
茶の木ではなくトチュウという木の葉が原料。そのたカフェインがなく、妊婦さんや女性にも安心して飲むことができます。
しかしクセがあって飲みづらいという意見も聞かれる杜仲茶。トチュウについて、美味しい杜仲茶の選び方などをご紹介します。
特徴
杜仲茶の原料、トチュウはトチュウ目トチュウ科という独自の種類の、ただ1種類の落葉高木です。
高さは10メートル以上に達し、イチョウのように雌雄異体。雄の木と雌の木がいないと種を付けません。
中国原産で、現在は中国中部でのみ自生しています。
トチュウは日本にも移植され、長野県、広島県尾道市などで栽培されています。
高木になるため、日本で栽培する場合は周囲に十分空きスペースを作って植える必要があります。
ゴムの木のように、幹を傷つけるとゴムを取ることができます。ガタチャーパ(またはグッタペルカ)という耐蝕性の高いゴムで、寒い地域でも取れるゴムとして重宝されてきました。
寒冷地、温暖な地どちらでも育ち、比較的日本の環境には適しています。スペースさえあれば、全国どこでも栽培することができます。
日当たりの良い環境を好み、風通しが良い水はけの良い土を用意します。
20年ほどかけて、ゆっくり成長します。杜仲茶は若葉の部分を使うので、杜仲茶を作りたいときは若葉を採取して乾燥させましょう。(収穫時期などは後述)
病害虫には強いとされ、基本的に農薬は不要です。
一部の種苗店で苗を販売していますが、あまり育てる人がいないためか、情報も限られているようです。
出来れば販売店で、できるだけ情報を集めると良いでしょう。
エピソード
中国では古来から中医薬の一つとして重宝されていました。
トチュウの幹の皮「杜仲」は「鹿茸(ろくじょう)」「高麗人参」に並ぶ三大名薬とされ、この3つを煎じたものは不老長寿の薬として珍重されていました。
(鹿茸は、血が通った生えかけの鹿の角)
一方で、トチュウの若葉を煎じた杜仲茶は、上薬として愛用されています。
中医学には上薬、中薬、下薬の3種類があり、上ほど穏やかで効果がマイルドで、下ほど激しく効果が鋭くなります。
下薬は効果が強いですが、毒性も強いとされ常用はできず、ここぞという時にしか使えません。
上薬と呼ばれる食べ物を日常的に摂取すると、健康が維持できると、中医学では考えられています。
現在は中国にしか自生していないトチュウですが、大昔は広い範囲に自生していました。北米や中央ヨーロッパの6000万年前の地層から、トチュウの木の化石が発見されています。
裸子植物やシダと同じく、気候変動などにより徐々に生息範囲を狭めていったと考えられます。
収穫用のトチュウは中国全土に植えられています。
日本には大正7年(1918年)に中国から輸入され、栽培されました。これは日本軍がゴムの生産を目的としていたからです。
当時の日本は東南アジアなどからゴムの入手ルートを持っていましたが、トチュウの木から取れるゴムは良質で、しかも日本で栽培できるため重要視されていたと考えられます。
杜仲茶は日本で度々ブームを起こしています。1970年代、94年ごろ、2006年ごろに大きなブームに沸いたことがありますが、いずれもすぐに落ち着きました。
しかしダイエットティーや健康茶として、妊婦さんでも安心して飲めるお茶として、徐々に愛用者が増えています。
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効果・効能
杜仲茶の成分は、鉄分、亜鉛、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルが豊富。
さらに、肝臓に作用するゲニポシド酸、高い抗酸化作用のあるピノジェノール・ダイグルコサイド、植物毒のアルカロイド、ディリグナン、ペクチンなどが含まれています。
利尿作用や便秘解消などに効果があるとされています。
ゲニポシド酸には高血圧予防、間接痛や腰痛改善、老化防止、肩こり改善や冷え改善などの効果があると考えられています。
中医学では「肝」「腎」を労ると言われ、精力減退や間接痛、高血圧の治療に用います。
生産地やメーカーにより、味は様々ですが、ほのかに甘い味がします。これが甘いものの欲求を減らし、ダイエットに繋がるのではないかと考えられます。
杜仲茶を飲んでいるだけで直ちに痩せるわけではないので、その点は注意が必要です。
花粉症改善効果も全ての方が改善するのではないようです。栄養バランスが悪く体内のミネラルなどが不足していると、花粉症が起きやすくなることがあります。そのような場合には杜仲茶で改善が見込めるでしょう。抗炎症作用により、花粉症の炎症が和らぐ効果も考えられます。
利用方法と注意
杜仲茶はメーカーや産地により、味に大きな違いがあります。中にはクセが強すぎてとても飲めない、なんていうものも。
中国産と日本産がありますが、日本産は比較的飲みやすい傾向があります。少し高めですが、まずは通販で日本産のものを手に入れましょう。
副作用で、まれに下痢を起こすこともあります。少量飲むことから始め、徐々に増やしていくと安心です。
トチュウの葉のお浸し
トチュウの若葉はお浸しにして食べることができます。
適量を採取し、塩を少々入れた湯に潜らせアク抜きをします。冷水で冷やし、しっかり絞って頂きましょう。
スープの具や天ぷらにしても美味しいそうです。
杜仲茶の作り方
トチュウの木があるなら、ぜひ杜仲茶を作ってみましょう!
8~10月にトチュウの若葉をつみ取り、よく洗ってから天日乾燥させます。
一日数回手でかき混ぜて、均一に乾燥させましょう。8月は2日、9月は4~5日、10月は7日ほど乾燥させます。
乾燥させたら手で揉み、細胞を壊して抽出しやすくします。さらに青臭さを消すため、乾いたフライパンで10分ほど空炒りしたら完成です。
密封袋に乾燥剤を入れて、涼しい場所に保管しましょう。
杜仲茶の抽出時間
自作の杜仲茶は、やかんで8分ほど煮出します。
メーカーにより抽出時間は異なるため、購入した杜仲茶は説明書通りに作りましょう。
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