紫蘇(しそ)の栄養と効能。油やジュース、料理やレシピ、栽培まで

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6月ごろになると、スーパーや道の駅で紫色の巨大な束が売られています。紫蘇はジュースの原料や梅干しの色づけなど、通年楽しめる東洋のハーブです。

品種はとても多く、紫色のアカジソや緑色のアオジソ(青紫蘇)もあります。ここでは特に記載がない限り、狭義の紫蘇を指すチリメンジソ(縮緬紫蘇)について説明します。

特徴

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※青シソ↑

紫蘇はキク類シソ目シソ科エゴマ種の変種です。

長い間分類が確定しない植物でしたが、遺伝子を調べたところエゴマもシソもペリラ・フルテスケンスという植物の変種であることが分かりました。

エゴマの親戚でもあるので、栽培はエゴマによく似ています。英語でもシソと呼ばれ、正式名称は「Red Shiso」。

一年草で、原産地はヒマラヤ、ミャンマー、中国と考えられています。日本には中国から輸入されました。

漢方薬としても使用され、赤紫蘇の葉を「蘇葉」(そよう)と呼び、生命エネルギー(気)を循環させる作用があると言われています。

日本で気がもっとも停滞しやすい時期は、湿度が高い梅雨の時期。中医学では多すぎる湿度を湿邪と言い、気を停滞させると考えられています。

そんな梅雨の時期に紫蘇が出回るのは、理にかなった自然の仕組みです。

葉はもちろん、花穂や種も美味しく食べられます。花が咲く時期は短いので、見かけたらその場で手に入れることをお勧めします。

花穂は赤紫蘇よりも青紫蘇のほうが薫りが良く、柔らかく食べやすい傾向があります。

効果・効能

紫蘇特有の薫りと風味は、ペリルアルデヒドという有機化合物です。薫り付けの香料などに用いられ、タバコに混ぜて甘みを増す効果を狙うことも。

胃液を分泌させ、食欲増進、食中毒予防などにも効果があります。

赤紫蘇の赤い色はシソニンという成分です。

紫蘇を塩もみして、梅干しとともに漬け込むことがあります。実は紫蘇そのものには防腐効果がありませんが、5~10%の食塩を加えることで防腐の効能が発揮します。

元から防腐効果の高い梅干しに加えることで、さらに高い殺菌効能が期待できます。

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※左:シソなし、右:シソあり

栄養成分

栄養価も豊富で、特にβカロテンの含有量は極めて多いのが特徴です。βカロテンは強い抗酸化作用があり、若々しい体作りに欠かせません。

他にもビタミンB群、ビタミンK、カリウム、カルシウム、食物繊維などが豊富で、野菜としても優秀です。

青紫蘇のほうが、赤紫蘇よりも手軽に食べられるので、日々の食事に取り入れてみましょう。

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利用方法と注意

紫蘇油

紫蘇の種を絞った紫蘇油には、豊富なαリノレン酸が含まれています。エゴマ油アマニ油に含まれる成分と同じで、血液をサラサラにして動脈硬化を防ぐ作用があると言われています。
すぐに酸化するので、開封後は冷蔵庫で保管して早めに使い切りましょう。異臭がしたら食用には使えません。

レシピ

紫蘇ジュースの元の作り方

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もっとも有名なレシピは「紫蘇ジュース」。簡単にたくさん作れるので、友人に分けても良いでしょう。
梅雨の憂鬱を吹き飛ばし、夏ばてを防止する効果が期待できます。

(材料)
  • 赤紫蘇 500g
  • 酢 400g
  • 砂糖 600g
  • 水 2リットル
(手順)
  1. 葉を水洗いし、沸騰した湯に浸して3分煮出します。
  2. 煮出した汁をザルでこし、酢と砂糖を加えて20~30分ほど煮詰めれば完成です。

かなりの量が出来るので、半量で作っても良いと思います。酢をクエン酸に変えると、さらに安価に作れます。

鶏ささみ肉の梅肉青紫蘇巻き

梅雨の時期のお弁当にぴったり!ささみ肉に梅肉と青紫蘇を入れて、気の巡りをアップさせます。

(材料)
  • 鶏ささみ肉 2枚
  • 青紫蘇 2~4枚
  • 梅干し 大1個または小3個
(手順)
  1. 梅干しは種を取り除いて、叩き梅にします。
  2. 鶏ささみ肉は観音開きに開き、平たくして叩き、軽く塩を振ります。そこに叩き梅を半量塗り、閉じます。
  3. 外側に青紫蘇を巻き、フライパンでじっくり焼いて完成です。

よく冷ましてから3~4切れにカットして、弁当に詰めましょう。

栽培について

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育て方

日当たりが良く、やや湿り気のある土を好みます。
どんな土でも育ちますが、腐葉土など栄養豊富な土のほうがより元気に育ちます。赤玉土6に腐葉土4くらいの土が最適です。
痩せた土地でも育ちますが、葉が固くなって薫りが落ちてしまいます。柔らかく育てたいなら、柔らかい栄養豊富な土で育てましょう。

種まき~発芽

4月上旬に種まきを行うと、5月下旬ごろから葉の収穫が出来ます。すぐに育ち、すぐに食べられ、あまり手間がかからないので初心者向けのハーブでもあります。
(ただし害虫には弱い)
種を蒔く前に、一昼夜水に浸しておきます。紫蘇の種は皮が固いので、そのまま蒔いても発芽しにくい性質があります。
種は光を好む習性があるので、土はごく浅く被せる程度にします。毎日しっかり水を与えると10日ほどで発芽します。

苗から育てる

面倒なときは苗から育てると良いでしょう。5月ごろに20cm間隔くらいに植え付ければ、後はどんどん成長します。

収穫

草丈が20cm以上になれば収穫できます。育った下の葉から順に摘み取ると、苗を痛めることなく毎日美味しく食べられます。ただし、取りすぎると株が弱るので、初めは程々にしましょう。

9月ごろに花が咲き、種を付けます。花穂の2/3くらいが枯れたら種の収穫時期です。
花穂を切り取り、新聞紙を敷いたカゴなどに入れて陰干ししましょう。種がポロポロこぼれてきます。
紫蘇の種は完熟後、6ヶ月以上経たないと発芽しないので、育てるつもりの場合は気を付けましょう。

害虫について

ハーブのわりに害虫には弱く、アブラムシとヨトウムシが主な天敵です。ハダニ、バッタにも注意が必要です。
どちらも「小さなうちに手で取る」のが一番確実ですが、どうにもならないときは天然成分の農薬の力を借りるのも一つの手段です。

ヨトウムシは成長すると昼間は土に潜って身を潜めます。放っておくと葉をすべて食い散らかされるので、夜に捕殺すると良いでしょう。油を張った水に漬ければすぐ倒せます。
倒したヨトウムシは目立つ場所に置いておくと、鳥が喜んで食べてくれます。

エピソード

紫蘇の語源は古代中国の、後漢の時代に遡ります。
洛陽である若者がカニを食べて食中毒を起こしました。かなりの重症で生死をさまよっていましたが、名医と名高い花陀(かだ)が紫蘇の葉を煎じて飲ませます。すると、たちまち若者は回復しました。
紫色の蘇らせる薬、という意味で、この薬草を「紫蘇」と呼ぶことになりました。

花陀の逸話はたくさんあり、薬や鍼灸に精通するだけでなく、麻酔や開腹手術を発明したと言われています。曹操に遣えていた時期もありましたが、嫌気が差して逃げてしまったため殺害されたと言われています。
曹操は名医を自ら殺害してしまい、後々まで後悔することになったそうです。

完熟した実も漢方薬の生薬になり、「蘇子」(そし)と呼び喘息や便秘の症状を改善すると言われています。
フラボノイドが豊富に含まれているため、現在ではアレルギー症状の改善などに用いられることもあります。

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