パクチー(コリアンダー、香菜シャンツァイなど)は、近年の東南アジア料理ブームで一気に日本に浸透したハーブです。
独特の薫りで好き嫌いがハッキリ分かれるハーブです。料理に出すときは、必ず相手に好き嫌いを確認しましょう。
パクチーはタイ語で、日本では主に生の葉を指します。コリアンダーは英名で、乾燥させた葉や種など香辛料を指すことが多いようです。
香菜(シャンツァイ)は中国名で、これらはすべて同じ植物で、違いはありません。
ここではパクチーで統一して説明します。
特徴
独特の香りが特徴のパクチーは、セリ科の一年草。和名はコエンドロといいます。
原産地は地中海沿岸で、古代エジプトやローマ時代から薬草として利用されていました。当時はリュウマチなどの関節炎の薬として利用され、現在も民間療法で行うことがあります。
様々な薬効があり、最近では重金属汚染を防ぐ効果があると言われ、注目されています。
日本では、1年に2回(春、秋)に種をまくと育ちます。ハーブなので比較的簡単に育ちますが、ヨトウムシなどの害虫には弱い傾向があります。
水はけの良い土を好み、少し水を多めに与えます。泥はねに弱いので、根本にはワラやチップ材を敷いてあげましょう。
若葉の薫りは特に強いため、若葉を摘んで利用します。あまり大きくなると硬くなり、薫りも減ってしまいます。
若葉を摘みすぎると花が咲かなくなるので、種を取るための株と葉を取る株は分けたほうが良いでしょう。
一般的には、秋まきのほうが育てやすい傾向があります。
白い可憐な花を咲かせますが、花にもあの薫りがあるため切り花には向きません。
種は2つの半円状の種が1つに合体して成長します。
エピソード
パクチーの歴史は古く、原産地の古代ギリシャ、古代ローマなどで薬草として利用されていました。
古代エジプトでも利用され、ミイラとともに埋葬されていたという記録が残っています。
当時は腹痛、めまい改善に利用されていました。
中世ヨーロッパでは、媚薬としても用いられていました。実際にそのような効果が出るかは分かりませんが、独特の薫りに特殊な力を求めるのは理解できます。
やがてスペイン経由で南米に輸入され、料理に利用されることになりました。
北米へはイギリス人が持ち込んだと言われています。
日本でも平安時代に中国から輸入され、薬草として利用されていた記録が残っています。
なお、和名のコエンドロは、オランダ語が由来の外来語です。
世界中で栽培されるパクチーですが、利用法には地域差があります。
インド、ヨーロッパ、北アメリカではコリアンダーシードを使うことが多く、東南アジア、中国、南アメリカなどでは生の葉を使う傾向があります。
コリアンダーシードは柑橘類のような薫りがする香辛料で、カレーには欠かせません。くせがなく、どんな香辛料とも相性が良いのが特徴です。
SPONSORED LINK
効能・効果
パクチーは栄養豊富で、特にビタミンCを多く含みます。野菜としても優秀ですが、生の葉を過食するとおなかを壊すことがあります。
たっぷり食べたい時は、軽く火を入れると良いでしょう。
葉の独特の薫りは、ピネン、ノナナール、リナロール、デカナールなどが複雑に組み合わさったもの。生の葉にしか含まれないため、乾燥させると風味が落ちてしまいます。
フレッシュなパクチーを手に入れるのは大変ですが、できるだけ生のものを使いましょう。
中医学では、パクチーを乾燥させたものは「体を程良く温める」としています。
民間療法では炎症緩和(リウマチ改善など)、気分の鎮静化、重金属などの毒素を排出すると言われていますが、まだ科学的には解明できていません。
利用方法と注意
パクチーは独特の風味と刺激があるため、生でたくさん食べるのは控えましょう。腹痛を起こすことがあります。
生のまま使うこともありますが、ドレッシング、サラダなどの料理にすることもあります。
いくつかレシピをごらん下さい。
老虎菜(ラオフーツァイ)
「老いた虎は一見大人しいが、油断ならない」という故事が語源のサラダで、中国東北部で食べられています。
パクチーの葉、きゅうり、青トウガラシ(または青ピーマン)を合わせたサラダです。
味付けは塩とごま油のみ。化学調味料を少し加えると本格的な味わいになります。
辛党の方以外にはとてもお勧めできませんが、好きな人はとことん好きになる一品です。
コリアンダーシードのチャイ
コリアンダーシードは、チャイの原料にもなります。
チャイのスパイスの中に、1杯あたり小さじ半分ほど加えると更に風味が増します。
チャイは少量の水に茶葉とスパイスを入れ、火にかけます。2~3分ほど煮たら牛乳をたっぷり注ぎ、沸騰する寸前まで弱火を入れたら完成。
好みで、砂糖を入れて頂きます。
紅茶が美味しいですが、ルイボスティーなどのハーブティーでもよく合います。
コメントを残す