ゴマの栄養と効果効能。注目成分セサミン。カロリー・食べ方

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団子などのお菓子や和え物、麺類、豆腐、油まで幅広く活用されているゴマ。最近では麦茶やお土産など、様々なものに添加されています。
ぷちぷちした触感と香ばしい味わい、適度な脂っこさが大変美味しく、現在でも人気の高い食材です。
栄養価が高いので、子供のころからよく食べていた方も多いのでは。
世界各国でゴマは広く普及していますが、他の地域で使用されるのは主にタヒニと呼ばれるペースト。ねりゴマと同じものです。
すりゴマ、ねりゴマ、ごま油など多種多様に使うのは、東アジア諸国の特徴です。

特徴

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ゴマ科ゴマ属の一年草です。野生種と栽培種があり、野生種はアフリカ大陸に数多く自生しています。
栽培種は諸説ありますが、紀元前3500年ごろのインドが原産だと考えられています。
現在でも主要生産地の多くがインドとアフリカ諸国ですが、これらの地域はゴマの大規模栽培に適しています。

種子を食材にし、絞ってゴマ油を作ることもあります。
ゴマ油は炒ったゴマを絞ったゴマ油と、生のゴマを絞った「太白ごま油」があります。太白油はゴマ独特の風味がなく、熱で変質しにくい特性があります。そのため天ぷらの揚げ油にブレンドしたり、サラダ油代わりに使用することができます。

栽培は日本でも可能で、茨城県や鹿児島県、沖縄県などで栽培されています。しかし日本産のゴマを入手するのは大変難しく、百貨店や自然食品店で僅かに扱われているだけです。
理由は海外のゴマが安すぎるため。価格競争できず、栽培しても利益が見込めないのが原因です。
現在、日本に流通するゴマの99.9%が外国産です。

白ゴマ、黒ゴマが有名ですが、トルコでは金ゴマが栽培されています。他にも茶ゴマ、黄ゴマもあります。
ひと昔前までは、ゴマの色で栽培された地域がすぐ判別しました。中国やタイは黒、トルコ、ギリシャは金、スーダン、メキシコ、グァテマラは白、コロンビアの茶など。
現在は各地域で様々な品種が栽培されていますが、かつては各地の気候に合ったゴマが栽培されていました。

栄養と効果・効能

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ゴマの50%は脂質です。そのためカロリーは高く、100gあたり573kcalもあります。
栄養価はどの色のゴマもほぼ同じですが、黒ゴマの皮にはタンニン系ポリフェノールがたっぷり含まれています。
セサミン、ビタミンEが含まれるため、抗酸化作用が強い食材です。

セサミンは近年、とても有名になった栄養素です。ゴマ特有の抗酸化物質の一つで、ゴマリグナンという植物性エストロゲンの一種です。
大豆に含まれるイソフラボンが女性ホルモンに似た作用を起こすように、セサミンも人体に入ると様々な作用を起こします。
強い抗酸化作用があるため、老化防止に効果があると言われています。さらに肝機能強化、悪玉コレステロールを下げる、高血圧改善、美肌効果、免疫力アップなど、様々な効能があるとされています。
ゴマの1%しか含まれていない希少成分なので、ゴマを食べるよりサプリメントで摂取したほうが効率的と言われています。
近年発見されたゴマペプチドには、血圧降下作用があることが発見されました。

脂質がもっとも多く、たんぱく質、炭水化物もバランスよく含まれています。
脂質は不飽和脂肪酸が多く、血液サラサラ効果が見込めます。オレイン酸、リノール酸がバランスよく含まれ、コレステロール値の改善も期待できます。
カルシウムやマグネシウム、鉄、リン、亜鉛などミネラルが豊富。貧血改善や骨を丈夫にする作用があります。
ビタミンA、B1、B2、B6、E、葉酸も豊富に含まれています。
ビタミンB群は栄養をエネルギーに変換する力に優れ、代謝を上げる効果があります。そのためダイエットに役立つ栄養と言われています。

しかし、ゴマは皮が固いため、そのまま食べても栄養になりません。
すりゴマやねりゴマなど加工して食べることで、優れた栄養価が吸収できます。

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利用方法と注意

ゴマアレルギーを起こすことがあるため、子供に食べさせる前に必ずアレルギーを調べましょう。
アトピー性皮膚炎を発症する人には、ゴマにアレルギー反応を示すことが多いことが知られています。

ゴマを使った料理は多く、ゴマ味噌や唐胡酢など調味料、ゴマ豆腐やゴマ団子などのお菓子が有名です。東京銘菓「ごまたまご」は有名なお土産の一つ。
カロリーは高いので過食すると太ってしまいます。しかし、それ以上に栄養価に優れているため、適量なら健康に役立つ作物です。
唐胡酢(とうごす)はトウガラシと黒ゴマを酢で浸したもので、白髪の改善に効果がある民間薬です。食後にスプーン1杯ほど摂取すると血流が改善し、白髪になりにくい身体になると言われています。

ゴマは油分が多いため、炒った状態で長期間保存すると酸化します。ビタミンEが含まれているため、ある程度は酸化を防ぎますが、それでも限度があります。
出来れば「洗いゴマ」を買い、使う分だけフライパンで炒って擦るのが一番健康に良く、おいしい食べ方です。

洗いゴマの炒り方

ゴマを炒るのはとても簡単です。一見面倒なように見えますが、習慣にすれば苦になりません。

すり鉢と擂り粉木を用意し、蓋つきフライパンに大さじ1杯の洗いゴマを入れます。
蓋をして弱火にかけ、中でパチ、パチ、と音がしたらすぐに火を消します。すぐにパチパチパチと盛んに音がするので、収まるまで蓋をしたまま放置します。
音が止んだらすぐにすり鉢に入れ、軽く擂り粉木を当てて「力を入れずに」擦ります。
(力を入れて擦ると、油がにじみ出て酸化しやすくなります。)
擦っている間に再び大さじ1の洗いゴマをフライパンで熱し、必要分が出来るまで繰り返しましょう。

炒ったゴマはすぐに擦らないと、すぐに皮が固くなります。熱いうちに擦るのがコツです

ごまドレッシングの作り方

擦ったばかりのゴマに、すり鉢の中で和えます。

  • すりゴマ 大さじ1
  • ねりゴマ 大さじ1
  • 酢 大さじ1~2(好みで)
  • 醤油 大さじ1
  • 砂糖 適量(大さじ1~)
  • ごま油 適量(小さじ1~)
  • 塩 適量

以上をすべて、すり鉢に入れてよく練れば完成です。
風味が良いので、グリーンサラダによく合います。

栽培について

ゴマは暑さと乾燥に強く、寒さに弱い植物です。そのため、種まきは5~6月ごろに行います。酸性土壌が苦手なので、種を蒔く2週間ほど前に苦土石灰を畑に混ぜておきます。種を蒔き、軽く土を被せて水をたっぷり与えます。20℃以上の環境なら、5~6日ほどで発芽します。ゴマは、ある程度育ったら非常に乾燥に強くなります。水は、地面が乾いたら与える程度で十分です。

生育は非常に早く、1ヶ月ほどで花を咲かせます。白ごまの花は真っ白で、黒ごまの花は薄い紫色なので、花の色でも区別できます。下から上に花が咲き、実を実らせます。8~10月に収穫期を迎えます。実はサヤの中に入っていて、熟すとサヤが茶色くなり、弾けて中身が飛び散ります。家庭菜園なら、熟した下のサヤから順に手で摘み取ると、良質のゴマが穫れます。面倒なら株ごと刈り込んでも構いません。

サヤを収穫したら、よく乾燥させます。乾燥させるとサヤが割れるので、サヤからゴマを取り出します。食べるときは、蓋つきのフライパンなどで軽く炒って使いましょう。炒りたてのゴマは格別の美味しさです。

ゴマは水分が少ないほうが良く育ちます。収穫時期に大雨が降るとゴマが実らず、収量が大きく下がることも。プランター栽培をするなら、雨が直接当たらない庇のある場所で育てると安全です。逆に、日照りが続くとゴマは豊作。コメにとって日照りは大きな問題ですが、ゴマにとっては優良な環境になります。

エピソード

ゴマの歴史は大変古く、世界各地で愛用されています。日本にはインドからビルマ(ミャンマー)、中国を経由して伝わったと考えられています。
日本での栽培は非常に古く、縄文時代後期にはすでに始まっていたという説も。飛鳥時代に編纂された「大宝律令」にはゴマの記述があります。
仏教と密接に関わり、精進料理にもゴマは活用されます。高カロリー高タンパクな食品なので、肉が食べられない僧侶にとって貴重なエネルギー源になります。
やがて江戸時代になると収量が上がり、お菓子の材料や天ぷら油として普及しました。現在でも高級天ぷら店では、ゴマ油を加えています。
「ごまかす」という言葉は、江戸時代に実在したゴマを原料にしたお菓子、「胡麻胴乱(ごまどうらん)」が由来という説があります。
ゴマと小麦粉を練り、膨らませたお菓子で中身は空洞です。当時は菓子の原材料が貴重だったために生まれたお菓子だと言われています。
口の悪い江戸っ子は「ゴマの良い薫りがして美味しそうなのに、中身は空っぽ」と揶揄し、外見ばかりで中身が伴わないことを「ごまかす」と言うようになったと言われています。

黒砂糖でも有名な鹿児島県・喜界島ではゴマ栽培が盛んで、8~9月の収穫期には集落のあちこちでゴマを天日干しする光景が広がります。
「ごま道路(セサミストリート)」と呼ばれることもある、喜界島の風物詩です。

アフリカでは紀元前6000年前ごろに、野生種のゴマを栽培していたと言われています。
エジプトでは紀元前4000年ごろに建てられたピラミッドからゴマが発掘されました。食用だけではなく、香料や灯油、ミイラの防腐剤として使用されていた形跡が残っています。
インドと中国には紀元前3000年ごろに伝わったと考えられ、インドで栽培品種が開発されました。インドの伝統医療では、ゴマ油で薬草を煮詰めて薬にするレシピが残っています。
中国では最古の医学書「神農本草経」に記載され、不老長寿の薬として紹介されています。
中医薬の生薬にも利用されますが、食用としても需要が高く、生産も世界で3番目に多い主要生産国です。
ごまをまぶした団子を揚げた「芝麻球」、すりゴマをたっぷり加えた担々麺など、ゴマを使った料理は数多くあります。
ゴマは漢字で「胡麻」と書きますが、胡は西方(インド)のことです。この名前からも、ゴマはインドから中国に移入されたものだと考えられます

ごまの色は様々ですが、栄養価は基本的に同じです。しかし若干異なる点もあります。
白ごまは粒が小さく、収量が少なめですが、豊富な油脂を蓄えています。
黒ごまは粒が大きく、油脂も白ごまに比べると少な目です。そのため食用に利用されることが多い品種です。

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