梅干しの作り方と梅酢の活用方法。梅の品種、選び方

梅干しは、いわずと知れた梅の代表的な加工食品。和食の基本で長らく日本人に愛されています。

殺菌作用をはじめ、最近では梅酢ポリフェノールの効能が注目され脚光を浴びていますが、古くからその薬効・効果は重宝されてきました。

梅干しは大きく、果肉が多い大粒と、弁当の彩りやおやつになる小梅があります。特に、固く薄い果肉の小梅は人気のお菓子「カリカリ梅」の原料です。
梅干しを漬けた塩分の濃い液体は「梅酢」といい、調味料になります。体に良いものなので、ぜひ捨てずに料理に活用しましょう。

ここでは梅の品種、梅干しの作り方、副産物の梅酢の活用方法をご紹介します。

梅の品種について

梅の実用の品種は100種類以上あり、品種によって用途は異なります。
もっとも広く普及する「南高梅」は、梅干しや梅しそ漬けに向きます。梅肉エキスやジュースなど何にでも使いやすいので、初心者にもおすすめの品種です。

和歌山では南高と並んで代表的な古城(こじろ)は、肉厚で種が小さいのが特徴です。梅酒や梅肉エキスに最適です。かつては「青いダイヤ」と呼ばれていました。

南高の次に栽培されている白加賀(しらかが、しろかが)は、群馬県など関東を中心に広く栽培しています。花の香りも良く、鑑賞用品種としても優秀な梅です。
南高に比べて皮が厚く、実は柔らかいのが特徴です。梅酒向きと言われますが、梅干しにすると「昔の梅干し」の味と風味が楽しめます。

小梅は「竜峡小梅」「甲州最小」「白王」「紅王」など、様々な品種があります。
梅干しや梅シロップなど、様々な用途で使えます。白王は実が固く、カリカリ梅に向きます。
白王の変種、「パープルクィーン」は紫色の果実で、漬け込むとエキスがピンク色に染まります。赤紫蘇がなくても綺麗に色づくのが特徴です。

梅干しの作り方

梅干しは、ひと昔前までは自家製がよく見られました。最近は梅の産地以外ではあまり見かけなくなりましたが、少量なら簡単にできます。
簡単に作るポイントは、塩分濃度を上げること。18~20%くらいで作るのが理想です。
減塩で漬けるとカビ発生のリスクが上がるので、初心者には向きません。塩抜きの方法もあるので、塩分は気にせず作りましょう。

少量なら、容器がなくても作れます。フリーザーバッグなど、密封できる頑丈な袋を用意しましょう。
ここでは密封袋で作る方法を紹介します。

  • 完熟梅 1キロ
  • 塩 180g
  • 焼酎 50g

梅を流水で洗い、ざるに上げて水切りします。
深く傷ついている実、痛んでいる実は腐敗するおそれがあります。取り除いておきましょう。

梅の実には、枝に付いていた部分(なり口)に黒く小さなフタが付いています。
このフタを放置すると雑菌が繁殖するので、竹串やつまようじで取り除きます。(実を傷つけないように注意します)
清潔な布巾やキッチンペーパーで、ていねいに水を拭き取りましょう。

ホーローのボウルに梅を入れ、塩と焼酎を入れて混ぜます。出来れば使い捨て手袋をはめて作業しましょう。
密封袋にすべて詰め、空気を抜いて大きめのバットに横に置きます。その上から同じサイズのバットを置き、1キロの重石をかけます。(缶詰など身近なものをつかっても)
冷暗所に2~3日ほど置くと、梅酢が上がってきます。12時間に1度くらい、袋をゆすったり上下を変えて、梅酢を全体になじませましょう。
外出などで袋が返せないときは、その間だけ冷蔵庫で保管します。返しが遅れるとカビが発生します。

7月下旬から8月上旬を「夏の土用」と言います。
うなぎを食べることで有名な時期ですうが、この頃に梅干しを天日にさらします。「土用干し」という行程で、これを行うと風味がさらに良くなります。
この行程を省いたものは「梅漬け」で、一般的に流通する梅干しの大半はこのタイプです。
ぜひ自家製にこだわるなら、土用干しを行いましょう。

土用の晴天が続く日を選び、大きなざるに漬けた梅を並べます。
日当たりと風通しの良い場所に晒し、夕方には家に取り込みます。取り込んだら清潔な手袋を付けて(または手をきちんと洗ってから)、梅干しを上下に返します。
次の日も同じ行程を行い、3日目には朝に出して夕方に梅をひっくり返し、そのまま翌朝まで外に放置します。
夜露に晒された梅干しは、柔らかさが増すと言われています。

これを取り込み、清潔な保存びんに入れて完成です。塩分濃度が高いので、常温保存ができます。冷暗所に保管しましょう。
翌年の2月ごろまで寝かせると、さらに風味が上がります。

梅酢の活用法

梅酢は、梅干しを作るときに出来る副産物で、梅干しを腐敗から守る働きがあります。
梅の実のエキスがたっぷり含まれ、調味料としても活用できます。
防腐効果があるため、夏場にごはんを炊く時に少量入れると、痛みにくくなります。
おにぎりを握るときに、手水に使うと程良い塩分と酸味が楽しめます。

きんぴらごぼうを炒めるときにも、梅酢は重宝します。水に浸さずアク抜きすることができます。
ごぼうの皮を向かずにささがきにしたきんぴらをフライパンで軽く炒め、梅酢を少々垂らしてからフタをします。
ごく弱火にして、フライパンからおいしそうな匂いが漂ったらフタを開け、混ぜるとアク抜きができます。
ごぼうの甘味や風味を損なわず、アクをうまみに変える調理法です。

梅酢は、土用干しの際に清潔な瓶に入れ、1日ほど瓶ごと天日に晒して殺菌します。
冷暗所で半年~1年ほど保管できます。

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