チコリは代用コーヒーやサラダなど、欧米ではよく知られた野菜です。
日本では百貨店の生鮮品コーナーなどで、小さな白菜のようなチコリの芽が販売されています。
まだ日本では馴染みの薄いハーブですが、どのような植物でしょうか。
特徴
チコリは、キク科多年生野菜です。
地中海~中央アジア原産の植物で、和名はキクニガナ(菊苦奈)といいます。
和名のとおり、葉はほろ苦く、慣れない人が食べると驚くかもしれません。
欧米では若葉をサラダに使われます。
根を煎って代用コーヒーとして活用されることも。
日本では北海道、埼玉県浦和市、愛知県、千葉県などで栽培されています。冬季に流通するチコリは、ほぼ国産です。
近縁種にエンダイブ(ラディッキオ)があります。リーフレタスのような外見で、レタスがさらに苦くなったような野菜です。イタリアではサラダによく使われます。
効果・効能
チコリ酸
チコリ酸という独自の成分があり、肝機能向上による解毒作用の強化が期待できます。
肝臓が刺激されることで、脾臓、胆嚢、腎臓などの内蔵を浄化する効果もあると考えられています。
お酒をよく飲む方、疲れやすい方への改善効果が期待できます。
イヌリン
イヌリンという食物繊維も豊富です。
食事と一緒に摂取すると糖の吸収を穏やかにし、血糖値の急上昇を防ぐと言われています。特に、糖尿病や予備群の方にお勧めです。
イヌリンは腸内の老廃物を排出する作用もあり、腸内環境の改善、便秘の解消などの効果も。
その他
他にも利尿作用があり、腎機能を強め、むくみ改善に効果があると言われています。
野菜としても優秀で、葉酸が豊富。細胞分裂に欠かせないビタミンの一種で、赤血球を作るために欠かせないものです。貧血を予防する効果もあります。
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利用方法と注意
常食は避けましょう
過食すると視力低下を招くと言われています。
常食は避け、子供や妊婦さんは摂取を控えましょう。
キク科植物のため、キク科アレルギーの方は摂取できません。
食べ方
チコリのサラダは様々な食べ方があります。
チコリの芽を剥いた状態で皿に並べ、葉の窪んだところに他の食材を載せた「チコリボート」、適度に刻んで、季節の野菜やフルーツと和えたサラダなどがあります。
チコリボートは華やかで、前菜にぴったり。しかし苦いので、子供がいる食卓では控えたほうが無難です。
栽培方法・育て方
丈夫な植物ですが、栽培は若干手間がかかります。
酸性土が苦手なため、植え付ける前に苦土石灰を混ぜて中和させましょう。
多年草のため、1年かけて育てます。9~10月に種まきを行い、11~12月ごろに一度掘り起こします。
根はゴボウのように一本伸びているため、傷つけないように慎重に掘りましょう。
伸びた茎を地上から3cmくらいで切り落とし、再び植え付けます。家庭菜園なら、バケツを被せて伸びた芽を柔らかく育てます。(軟白栽培)
または土を被せて、日光に当たらないようにします。
そこから伸びた芽は、野菜のチコリとして収穫します。サラダにすると苦いですが、加熱すると比較的食べやすくなります。
寒さには強いですが、地中海原産の植物のため、蒸し暑い夏は苦手。日なたを好みますが、夏は直射日光が当たらないように気をつけましょう。
1メートル以上の高さに育つため、ある程度の高さまで成長したら支柱を立てて保護します。
6~8月に、美しい青紫色の花を咲かせます。
エピソード
チコリの使用は大変古く、紀元前4世紀に書かれた古代エジプトのパピルス文書にチコリの記述があります。当時は魔力があるハーブと考えられていたようです。
現在ではベルギーやフランスでは国民的野菜として親しまれ、大々的に輸出されています。軟白栽培した若芽はサラダに、グラタンなど煮込み料理に活用されています。
加熱すると苦みが減って甘みが増し、子供でも食べやすくなります。オーブン焼き、炒め物などにも合います。
ヨーロッパ原産ですが北米にも渡り、現在は帰化植物として自生しています。
タンポポと同様、チコリの根は焙煎して、コーヒーの代用(代用茶)として利用されます。現在ではカフェインのないコーヒーとして、カフェインが苦手な方に愛飲されています。
タンポポに比べて柔らかい味で、クセは少な目。タンポポコーヒーが苦手な方でも飲みやすい傾向があります。
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