サプリで人気、田七人参の成分と効果。摂取量や副作用は?

田七人参はかつては入手困難で、漢方の医学書にしか記されていなかった生薬でした。最近はサプリやお茶、エキスなどが日本でも浸透し始めています。

その正体は高麗人参の仲間、ウコギ科の植物。原産地の中国の南部、雲南省では花や根をスープなどに用い、夏に籠もった体内の熱を取り除くために飲まれます。

様々な効能が期待され、大手製薬メーカーも研究を進めている人気上昇中のハーブです。

特徴

セリ目ウコギ科トチバニンジン属の多年草です。
和名はサンシニチンジン(三七人参)ですが、中国の名称の田七人参(デンシチニンジン)のほうが有名です。

原産地

中国南部原産で、雲南省、広西チワン族自治区などの標高1,200~1,800mの山岳地帯で育ちます。
特に、広西チワン族自治区の田陽、田東が名産地とされています。田七人参の「田」は、この地域を指す名称です。

この地域は茶葉の一大生産地としても有名で、最高級品のプーアル茶の茶木が、森林の中で自生しています。
これらの茶には体を温め、薬効があると言われますが、それは田七人参など様々な薬草と共に、自力で栄養を吸収してゆっくり育つからと言われています。
肥料を与えて育った茶にはミネラルが少なく、これらの効能はあまり期待できないと言われています。

かつては希少価値の高かった生薬

非常に強い止血効果があり、漆のように強力な粘着力があるという意味の「山漆(さんしつ)」、ゴールドに交換できないほど希少価値があるとされていたため「金不換(きんふか)」と呼ばれることも。

中国では経済開放政策が始まるまでは、国外に持ち出しを禁じていた希少な生薬でした。

文字通り金を積んでも買えない生薬で、かつては日本では幻の生薬と言われていました。

現在は様々なメーカーが田七人参のサプリを販売し、専用のランキングまで存在するほど浸透しました。

栽培について

田七人参は、種まきから収穫まで3年以上かかります。
高麗人参と同様、地下の栄養を吸い尽くしてしまう性質があります。そのため栽培地では1年ごとに植え換えます。

連作障害が出るため、田七人参を植え替えた後はトウモロコシなどを栽培して、しばらく畑を休ませます。

花が咲く前に収穫し、根を水洗いして陰干しします。

根に薬効が多いため、一般的にはこれを生薬に利用します。

病気には非常に弱く、ひとつの株が病気にかかると1週間で畑が全滅してしまいます。永年の苦労が水の泡になるリスクを常に抱える栽培環境で、現地の農家の苦労が忍ばれます。

黄色い花を咲かせ、真っ赤な実を付けます。花は現地では料理に利用され、炒め物やスープになります。一見するとブロッコリーのかけらのように見えますがゴーヤ並みに苦く、日本人には厳しい味かもしれません。

種は採取したらすぐに蒔かないと、すぐに芽が出てしまいます。そのため生育が大変難しい植物と言われています。

エピソード

中国での使われ方

生産地域では古代から用いられたと考えられますが、中医学にその名が載ったのは比較的最近で、16世紀になってから。「本草網目」に初めて登場します。

たんなる生薬だけではなく、現地では様々な使われ方をしています。
止血作用があるため、歯磨き粉に入れたり、杭州レストランでは食材に使われたり、日常に取り入れられています。

生薬として

粉状の田七人参を小分けにして「三七片」という生薬として、薬局で販売されています。

薬局では「三七」「三七花」と分けて販売しています。これは田七人参の根、茎、花では、効能が異なるため。中医学でも異なる症状に用いられます。

一般的になったのは

かつては上流階級の人しか使えなかった田七人参ですが、71年に周恩来首相は一般人にも開放し、使用人口は一気に増えました。
しかし海外への輸出は規制され、ようやく解禁されたのは77年です。日本には同年、初めて輸入されたと言われています。

ベトナムでは

原産地はベトナム国境に接しているため、かつてはベトナムにも輸出されていました。

ベトナム戦争時、アメリカ軍は現地の北ベトナム人が田七人参を使用したのを見て、知識を持ち帰ったという噂もあります。田七人参は外服薬(塗り薬)としても利用できるため、優れた止血効果を目の当たりにしたと推測されます。

そのためかは不明ですが、アメリカのサプリメント業界でも田七人参は取り入れられています。

効能

現在はお金さえ出せば比較的簡単に手に入りますが、様々な効能が期待できると言われています。

鼻炎、下痢など出血や腫れに関わる症状や病気、自立神経失調症、肝機能障害、糖尿病や高血圧、コレステロール値異常など生活習慣病、子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣腫瘍など不妊に関わる病気、生理痛、更年期障害、などの改善に効果が期待できると謳われています。

日常の疲れや産後の疲れを改善する効果もあります。
アレルギーや前立腺癌、白班(尋常性白班)などにも効果が期待できるという声もありますが、有効性の証明はまだ研究段階です。
ダイエット効果も期待できると言われ、ダイエット目的で摂取する方も増えています。

田七人参の成分と効果・効能

止血効果と血栓予防

根にはデンシチンという成分が多く、優れた止血効果があります。打撲や腫れ物にも効果があると言われています。

デンシチンは田七人参独自の成分で、よく比較される高麗人参には含まれていない成分です。止血効果を期待するなら田七人参を利用しましょう。内出血にも効果が期待できます。
外服薬として使う場合は、同量の大黄末と混ぜて、酢で練って使用します。

田七人参の特徴は止血だけでなく、抗凝血作用を同時に発揮するところです。血流をコントロールする作用があり、血液ドロドロを防ぎ、血栓を予防します。

肝機能障害の改善

肝機能障害を改善する効果もあり、臨床実験では罹患者18名に1日2gを3回、3ヶ月に渡って摂取したところ、5人の血清トランスアミナーゼ活性値が低下しました。

コレステロール値の安定

サポニンも豊富で、高麗人参に比べて4倍も含まれていると言われています。サポニンには血中コレステロールを適正に保つ効能があります。

ダイエット効果や美容に

むくみを予防し、痩せる効果があるという声も。
強い抗酸化作用もあり、体内の活性酸素を取り除く働きも期待できます。細胞の老化を防ぎ、若々しい体作りには欠かせません。美容面での効能も期待できます。

免疫アップや疲労回復

免疫力を上げ、強い疲労回復効果もあります。滋養強壮作用もあるので、疲れが抜けない時に服用すると、回復が早くなるでしょう。

体を温める

中医学では気(生命のエネルギー)を養い、体を温める作用があります。肝(いわゆる肝臓ではなく、筋力と目を養う源とされる概念上の臓器)と胃を養います。

利用方法と注意

摂取量と副作用について

一般的に、田七人参の摂取量は1日10gほどと言われています。

副作用は少ないと言われますが、頭痛やめまい、イライラなどの諸症状が出ることも。初めはごく少量から始めましょう。

中医学では「血虚無?」(けっきょむお・血の滞りがなく、血が足りない体調)の体質の方は使用禁止です。

万能薬ではない

万能薬のような扱いをされがちですが、田七人参は東洋医学の生薬の一つ。適切に使えば優れた効能が期待できますが、そもそも東洋医学は生命力を助ける補助的な効果を期待するものです。

日常生活が乱れているのに田七人参を摂取しても、大きな効果は期待できません。まずは体を労り、生活習慣を改善してから服用しましょう。

サプリメントやエキスの選び方

自治区とはいえ、中国で栽培されている植物なので、農薬使用は気になるところ。有機栽培または無農薬を謳ったものなら安心して服用できます。

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