ドクダミの特徴、お茶の効果・効能と作り方。副作用と注意点

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白い可憐な花を咲かせるのに、触るだけで激臭が漂うドクダミは生命力が強く、雑草扱いされることが多い植物です。
一方で肌に良いとされ、化粧水や石鹸、風呂の入浴剤、お酒など様々なものに添加されています。特にドクダミ茶は有名で、スーパーや薬局でもよく取り扱われています。
昔はどこにでもいた「有能なやっかい者」の植物版と言える草です。

特徴

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コショウ目ドクダミ科の多年草です。じめじめした半日陰を好み、家の庭や道ばたなどに自生します。
ドクダミの意味は「毒を抑える」という意味の「毒嬌み」から来ていると言われています。昔は「之布岐」(しぶき)と呼ばれていました。
日本各地で自生し、基本的に雑草として扱われています。しかし八重咲きの品種(ヤエドクダミ)や葉が赤くなるドクダミ(ゴシキドクダミ・またはカメレオン)など珍しい品種は、園芸品種として育てられることもあります。

日本から中国南部、東南アジアに自生し、ベトナム料理には生のドクダミの葉が使われることも。
ベトナムのドクダミはあまり臭いが強くないという説もあるため、日本のドクダミで真似するのは控えたほうが良いでしょう。

地下茎でどんどん繁殖し、少しでも地下茎が残ると再び繁殖する、生命力の強い植物です。
そのため駆除や除草は大変難しく、「ドクダミに効く」と、わざわざ表記して販売している除草剤もあります。

ドクダミが嫌われる原因は繁殖力の強さだけでなく、独特の臭気にあります。
葉も茎も根もすべて臭く、少しでも手に触れたら石鹸で洗ってもなかなか臭いが落ちません。
この臭いの正体はデカノイルーアセノアルデヒドや、ラウリルアルデヒドという物質。なんとも形容し難い不快な臭いですが、病原菌やウイルスにとっても不愉快な物質らしく、ある種の菌やウイルスの増殖を抑える効果があります。

効果・効能

臭いの原因物質デカノイルーアセドアルデヒドには強い抗菌作用があります。
食中毒の原因にもなる黄色ブドウ球菌や肺炎菌、水虫の原因になる白癬菌などの増殖を抑えると言われています。
ドクダミの語源でもある「毒を退ける」効果は、この物質の作用によるものです。

ただし、乾燥や加熱で壊れてしまうため、殺菌作用は生でしか保ちません。
山などで怪我をした際はドクダミの葉をすりつぶし、患部に当てておくと止血、炎症予防の効果が期待できます。
ちくのう症の改善に、鼻に詰めて治療する民間療法もあります。ただし臭いが強いため、抗生物質が使えないなど余程の事情がない限りはお勧めできません。

ドクダミに含まれるラウリルアルデヒドにも同様の効果があります。
臭い成分以外には、抗酸化作用があり利尿作用や動脈硬化の予防に役立つとされるケルセチンやクエルシトリン、利尿作用のあるカリウム塩などが含まれています。これらの成分は加熱しても壊れないため、乾燥させたドクダミ茶には優れた薬効が期待できます。
炎症を抑える効果があるピペリンも含まれています。

これらの作用は肌の症状改善にも効果が期待できます。シミを薄くすると言われ、化粧水に添加されることもあります。

ドクダミ茶について

ドクダミの葉、または全草を乾燥させたものを「どくだみ茶」といい、健康茶として愛飲されています。
臭い成分のデカノイルーアセノアルデヒドは乾燥させると消滅するため、ドクダミ茶には臭いがなく、あっさりした味が楽しめます。
クセがないので他のお茶とブレンドしても美味しく頂けます。

効能は利尿作用、血流改善など。アトピー改善効果もあると言われています。
洗顔や化粧水で使うとニキビ予防も期待できます。
利尿作用を促すカリウムが豊富で、むくみを防ぎます。抗酸化作用も強く、炎症を抑える作用が期待できます。
そのためデトックス効果、動脈硬化の予防、アレルギーやアトピー、ちくのう症などの炎症の軽減、便秘改善、ニキビや吹き出物の改善など、様々な効能が期待できます。
その結果として、高血圧や糖尿病などを防ぐ効果があると言われています。

ただし、普段の生活を改善せずに、ドクダミ茶だけ飲んでも効果は期待できません。生活改善した上で服用することで、徐々に改善が期待できます。
カフェインは入っていないので、妊婦さんにもお勧めできます。

副作用は高カリウム血症、肝機能(GOT、GPT)の上昇があります。
もし手足の痺れや不整脈、吐き気、力が入らないなどの症状が出たら、高カリウム血症の疑いがあります。直ちに服用を中止し、病院に行きましょう。(動けないなら救急車を呼びましょう)
重症になると不整脈を起こして死亡することもあります。
滅多に起こる症状ではありませんが、肝機能や腎機能の低下で起こることが知られています。そのため、肝機能、腎機能が良くない方は過度な摂取を控えましょう。

ドクダミ茶の作り方

作り方は簡単で、ドクダミを根から引き抜き、洗って土を落として、そのまま吊って乾燥させます。
(葉だけを刈り取る方法もあります)
糸で株を縛って、並べて吊しておくと場所を取りません。
花が咲く時期(5~8月ごろ)に最も薬効が上がると言われています。出来れば庭や山林など、農薬を撒いていない清潔な場所で採取しましょう。

乾燥したドクダミは適度に刻み、フライパンで空炒りすれば完成です。乾燥剤を入れた缶などに密封しましょう。
煮出す場合は、沸騰させたらとろ火でゆっくり煮だし、湯が半分になるまで煮詰めるのが理想です。面倒な場合は急須に入れて抽出しても構いません。

ドクダミ茶は市販もされています。海外産のものは安価ですが、できれば安心な国産のものを選びたいですね。
楽天、アマゾンなど通販各社で人気のオススメのドクダミ茶が検索できるので、手軽に購入できます。道の駅など、直販所でも販売していることがあります。

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育て方

育て方は簡単で、環境さえ良ければ特に手入れをしなくても元気に生育します。むしろ「繁殖しすぎるのをいかにくい止めるのか」を考えないといけません。
そのため初心者向きではなく、ある程度管理できる中級者向けの植物です。
草丈は低く、かわいい花を咲かせるので、雑草はびこる庭の雑草駆除に使われることもあります。

植え付けは4月~9月ごろに行います。庭なら植え付けてしまえば、一度たっぷり水を与えればあとは放置でもかまいません。
無限に増殖しないように、地下に板などを差し込んで地下茎をくい止めましょう。
5~6月に花を咲かせます。白い花弁のように見えるものは総包片という別もので、本物の花は中心に伸びる黄色い部分に集中しています。
よくみると黄色い毛がたくさん生えていますが、この毛一つひとつが花の集合体です。

初心者は鉢植えで育てましょう。半日陰の湿り気がある場所を好むので、暗いベランダでも元気に育ちます。
多少の乾燥には耐えますが、放置しているとさすがに枯れてしまうので注意しましょう。肥料は不要です。
あまりホームセンターなどで苗は売っていませんが、八重咲きやゴシキドクダミなどが少量販売されることはあります。
ハート型の葉に白くかわいい花を咲かせるので、外見はとても可憐な植物です。斑入りの品種もあり、庭に彩りを添えてくれます。

除草は大変ですが、根気よく掘り起こし、専門の除草剤を何度も撒くと徐々に駆除できるようです。
無理に取り除くよりも、どくだみ茶などに加工して上手くお付き合いするほうが良いかもしれません。

エピソード

漢方では「十薬」(ジュウヤク)と呼ばれ、日本薬局方(厚労省が定めた医薬品の企画標準書)にも収録されています。利尿剤や動脈硬化予防の漢方生薬として利用されます。
しかし、単独で用いることが多く、他の生薬と合わせることはあまりないようです。中医学や漢方の神髄は「多種類の生薬を組み合わせて、効果を何十倍も上げる」ことですが、ドクダミは単体でもある程度の効果を発揮します。

ベトナムや中国南部ではハーブ、野菜の一種として重宝されています。
ベトナム料理には魚料理に欠かせないハーブで、生食されています。
辛い料理で有名な四川省、雲南省では葉や茎を食べる習慣があります。貴州省では根を食用にし、ゴボウのように水に晒して唐辛子などで味付けをします。
にわかに信じがたい利用方ですが、これらは日本のドクダミに比べて臭いが少ない品種と言われています。

臭い成分は加熱するとなくなるので、日本でも若葉を天ぷらにすることもあります。

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