ゼンマイはワラビやコゴミと同じ、シダ植物です。新芽を山菜として楽しむことができます。
ゼンマイは雌雄があり、気をつけて採取する必要があります。アク抜きした後に乾燥させるなど、少々手間がかかる山菜でもあります。
しかし触感は格別。加工品なら年中楽しめるゼンマイとは、どんな植物なのでしょうか。
旬と産地
ゼンマイはシダ網ゼンマイ科の多年生シダ植物です。
シダ植物の中でも独立した種類で、世界には10種類、日本には5種類生息しています。
水の多い、湿った場所を好み、渓流の近くなど水の多い場所によく生えています。山道の脇や里山にも多く、公道でも採取しやすい山菜です。
(※私有地で勝手に採取すると窃盗になります。どんな山でも所有者はいるので、必ず許可を頂いてから採取しましょう。)
春に新芽が出るので、これを採取して山菜として利用できます。
コゴミに近い姿ですが、ゼンマイは蜘蛛の糸のように細い、茶色い綿毛にびっしり覆われています。(外見には個体差があり、コゴミでも毛深いものはありますが、コゴミの毛は剛毛です。)
ゼンマイは、北海道から沖縄まで全国で自生しています。旬は4~5月ごろ。
徳島県が名産地で、全国で流通する国産ゼンマイの47%を生産しています。続いて山形県、高知県、岩手県が続きます。
四国と東北という全く異なる地域で大量生産されているのを見ても、日本のどんな環境でも元気に育つことが分かります。
ゼンマイの芽には、「男ゼンマイ」「女ゼンマイ」の2種類があります。男ゼンマイは胞子葉、女ゼンマイは栄養葉のことです。
シダ植物は地上で初めて森林を形成した古い植物で、3億年の歴史があります。現在、もっとも繁栄している被皮植物は種で子孫を増やしますが、シダは胞子を飛ばして子孫を増やします。
胞子葉には、胞子がびっしり付いていて、成長すると胞子を放出します。女ゼンマイは栄養葉なので、子孫を増やす働きはしません。
男ゼンマイは芽が球形に近く、女ゼンマイは扁平な姿をしています。女ゼンマイのほうが茎が太めで、美味しいと言われています。初めは見分けが付きませんが、コツを掴めばすぐに見分けられるようです。
ゼンマイは、まず男ゼンマイが先に育ち、後で女ゼンマイが育つ傾向があるようです。
できるだけ男ゼンマイは取らず、女ゼンマイを採取しましょう。女ゼンマイも3~4本ほど残しておきましょう。
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下ごしらえと食べ方
ゼンマイはアクが強いので、必ずアク抜きをします。
アク抜きの方法はワラビと同じで、大きな鍋に水2リットルを張り、沸騰させたら重曹を大さじ1ほど入れます。
細かい泡が沸き立ちますが、火の加減はそのままでゼンマイを投入します。このまま0~30秒ほど火をいれながら混ぜ、重曹となじませます。
火を止めて鍋を下ろし、落とし蓋かキッチンペーパーを入れてゼンマイ全体に水が行き渡るようにして、冷めるまで放置します。
冷めたら水を入れ替え、しばらく浸しておきます。さらにもう一度水を換えれば完成です。
ゼンマイは、この後に乾燥させるのが一般的。天日に数日干して、水分を飛ばします。
毎日1回はひっくり返して、全体がよく乾くようにしましょう。完全に乾燥したら長期保管できます。
水に戻して料理に使います。
ナムルや煮物など、様々な料理に利用できます。ここでは簡単なナムルをご紹介します。
ゼンマイのナムル
ゼンマイの水には水で洗い直し、水分をしっかり切って4~5cmの長さに切り分けます。
フライパンにごま油を入れ、中火でゼンマイ、ねぎ、にんにく、醤油、砂糖、一味唐辛子を入れて、弱火で30分ほど炒めます。
汁気がなくなったら完成です。
栄養
ゼンマイはほかの山菜に比べて栄養価は低めですが、カロテン、ナイアシン、葉酸、カリウム、食物繊維などが比較的多く含まれます。
特に食物繊維は多く、腸内環境を整える効果が期待できます。食べ過ぎ防止にもなるので、ダイエットにも向いています。有害物質を吸着するため、病気予防にも効果があると言われています。
カロテンは抗酸化作用が強く、若々しい体作りには欠かせません。
ゼンマイには、アノイリナーゼという酵素が含まれています。ビタミンB1を壊す働きがある毒ですが、アク抜きすることでほとんど排除することができます。
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