クミンは、インドカレーを自作する方には欠かせないスパイスです。パウダーは茶色味を帯びたうぐいす色で、独特の薫りと穏やかな辛みとかすかな苦み、コクのある風味が楽しめます。
ホールのクミンシードは細長い形で、キャベツやにんじん、茹でたじゃがいもと炒めると大変美味しく仕上がります。
クミンはどのような植物か、効能やレシピを見てみましょう。
特徴
クミンは、セリ科クミン属の一年草です。エジプト原産で、主に種子をスパイスとして活用します。
一見、種にしか見えませんが、クミンシードは植物学上は果実に分類されます。
和名はウマゼリ(馬芹)。インドではジーラと呼ばれます。
インド料理の基本、カレーには必要不可欠なスパイスです。
インド料理のカレーは日本で味噌汁に相当する基礎的なメニューで、厳しい気候を様々なスパイスで乗り切ってきました。
他にもトルコ、オランダ、スペイン、ウイグルなどでも多く使われ、南米メキシコ料理ではチリパウダーの原料の一つとして活用されています。
効能・効果
独特の薫りの主成分は、クミンアルデヒド。消化器官を程良く刺激し、食欲増進させる効果があります。
インドなど湿度が高く、暑い地域は食欲が減退しがち。クミンの食欲増進作用で美味しく食べることができます。
レモンなどに含まれる、リモネンも多く含んでいます。リモネンは爽やかな薫りの主成分で、心身をリラックスさせる作用があります。
ストレス解消、免疫向上、がん抑制などの効果があると考えられています。
クミンにはビタミンやカリウムなど、多くの栄養素があります。特に多いのはカリウム、鉄分、カルシウム、マグネシウム、ナイアシン、リンなど。
ビタミンB1、B2、B6、C、E、K、葉酸なども含んでいます。
新陳代謝を促し、皮膚や粘膜の保護、貧血予防、抗酸化作用、骨粗しょう症の予防、貧血予防、酵素の働きを改善する、高血圧予防など、様々な効能が期待できます。
副作用として、食欲が増して過食につながることがあります。大食漢の人は程々に控えましょう。
利用方法と注意
クミンは火と油で炒めることで、薫りが良くなります。必ず一度、火を入れてから食材を入れましょう。
ここでは一番手軽な、「キャベツのクミン炒め」をご紹介します。
簡単に作れ、お弁当の副菜にもなります。
キャベツのクミン炒め
- キャベツ 2枚分
- クミンシード 小さじ1~
- 塩 少々
- オリーブオイル(なければサラダオイル) 少々
フライパンにオリーブオイルを垂らし、クミンシードを入れて火にかけます。パチパチと音がするまでクミンを炒めます。(焦げ付き注意)
一口大に切ったキャベツを入れ、塩少々を加えて炒めれば完成です。
お好みでガーリック、チリパウダーなどを入れても美味しいです。
基本のインドカレー
- クミンパウダー 大さじ1~
- コリアンダーパウダー クミンと同量
- ターメリック 小さじ1/2
- チリパウダー お好みで(甘味カレーの場合は不要)
- 皮つきしょうが 1個
- トマトピューレ 大さじ1(または生のトマト1個~)
- 玉ねぎ 1個
- ヨーグルト 100ccくらい
- 塩 小さじ1/2~
具は肉、茹でた豆、海産物など。海産物は、先に炒めて臭みを消します。
玉ねぎをみじん切り、または細くスライスし、中華鍋でじっくり炒めます。中華鍋で炒めると、早く飴色に仕上がります。(焦げ付き注意)
玉ねぎが飴色になったら、スパイスをすべて加えて炒め合わせます。火が通ったらトマトピューレと水を入れ、煮込みます。
煮込んでる最中にヨーグルトと、皮付きのままのショウガのすり下ろしを加えます。適度なところで塩を加え、味を調えれば完成です。
具材は肉の場合は玉ねぎの次に加え、海産物は仕上げ直前くらいに入れます。茹でた豆は水を入れるのと同時に投入すると、美味しく仕上がります。
生クリームや、カシューナッツの粉を入れると、日本のカレーのようなコクが出ます。
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栽培方法
クミンは日当たりと水はけの良い場所を好み、日本の気候でも育てることができます。種まきから3ヶ月ほどで収穫できるので、気軽に育てることができます。
暑さに弱いためインドなどでは冬に栽培しますが、ここでは日本での一般的な育て方をご紹介します。
種まき栽培の場合は、3~4月に種苗ポットに種を蒔きます。軽く土をかぶせ、発芽するまで乾かないようにします。
間引きを行い、5~6月ごろに10cmほどの高さになってから植え付けます。根は崩さないで植え付けましょう。植え付けてから、たっぷり水を与えます。
水が大好きなので、水を切らさずに管理しましょう。
土は弱アルカリ性を好むため、畑に植える場合は植え付ける2週間前に苦土石灰をまき、1週間前に元肥を施します。
6月中旬ごろには30cmほどに達し、花を咲かせ実を付けます。枯れたら丸ごと刈り取って収穫しましょう。
クミンシードは皮に覆われているので、脱穀してからよく乾燥させます。
薫りが飛びやすいため、長期保存する場合はオイル漬けにすると良いでしょう。
エピソード
人類が使っていたスパイスの中でも、最も歴史が古いものの一つです。
原産国のエジプトでは紀元前16世紀の医学書、エーベルス・パピルスに記載されています。王の墓からも埋葬品の一つとして出土し、いかに珍重されていたか分かります。
ミイラを製造する際に使うハーブにも、クミンが使われていました。
紀元前14世紀のミケーネ文明でも活用され、古代ギリシャ、ローマ時代にも食卓の薬味から薬、美容など、様々な用途で活用されていました。古代ギリシャでは食欲増進のシンボルにされていたほど。
新約聖書にも、クミンで税の一部を支払った記述があります。インドには紀元前ごろに輸入されたと推測されています。
中世ヨーロッパでも他の地域と同じく、料理のスパイスや薬用に用いられていました。
恋人の心変わりを防ぐ効果があると考えられ、結婚式のライスシャワーにクミンシードを混ぜて祝福しました。
日本には19世紀前半に伝来しました。長らくなじみが薄いスパイスでしたが、カレー自作ブームなどにより徐々に浸透しつつあります。
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