ネロリの香りと効果効能について。精油・ルームフレグランスに

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ネロリは香水やルームフレグランスでよく見かけるハーブですが、原料まで知っている方は少ないのではないでしょうか。

ネロリは、柑橘類のダイダイの花から蒸留した精油です。いかにも柑橘類のような爽やかな薫りではなく、ベルガモットの薫りを思わせる独特の深い薫りが楽しめます。

僅かですが、国産のネロリも市販されています。

ネロリとは

精油の特徴

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ネロリの原料、ダイダイはミカン科ミカン属の常緑樹。
ネロリは、この花を水蒸気蒸留して抽出した精油です。

1kgの花から、わずか1グラムしか抽出できない希少な精油で、化粧品などに添加されています。

ダイダイ以外の柑橘類から抽出したネロリも多数あるため、ダイダイで作ったことを強調することもあります。その場合はネロリ・ビガラードと呼ぶことも。(ビガラードは、ダイダイのフランス語です)

オーデコロン、クレンジングオイル、ルームフレグランスなど様々なものに含まれ、無印良品や生活の木などの専門店でも購入できます。

ネロリの名が付けられる精油は、水蒸気蒸留で得られたものだけです。ダイダイの花から溶剤抽出した香料は、オレンジ花アブソリュートと呼び、区別します。
蒸留する課程で大量に産出されるフラワーウォーター(ネロリウォーター)は、ほのかな薫りが楽しめます。こちらは安価で、アイロンの当て水やルームフレグランスなどに用いられます。

原料は日本でもとれる

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ダイダイの木は日本にはありふれています。庭木でもよく栽培され、冬に美味しそうなオレンジの実を下げている姿をよく見かけます。

あまり手をかけなくても育ちますが、鋭いトゲがあるので注意しないと怪我をします。

甘夏みかんはダイダイの突然変異で、1930年代に大分県で発見されました。甘酸っぱさが人気の、食べられるダイダイで昭和の時代には大変好まれていました。
国産ネロリは、甘夏みかんの花から抽出します。

ダイダイの由来

ダイダイの実は自然落下することなく、枝に2~3年も付いたままです。ダイダイの実は冬の間はオレンジ(橙色)に色づきますが、春になると緑色に戻ります。
その姿が「代々続く」めでたいものと見なされ、ダイダイの名が付きました。鏡餅の上にダイダイを飾るのは、幸せが代々続くという意味もあります。
安価な注連縄の飾りに付いている蜜柑は、ダイダイの代用です。

近年は、本物のダイダイを鏡餅に飾る機会が減っているため、ポン酢の酢や、レモン汁の代わりに使うことが増えました。ほろ苦い、爽やかな酸味が楽しめます。

日本では実を利用することがほとんどで、花はあまり注目されていませんでした。
花は5月ごろに開花し、肉厚で真っ白い5弁の花を無数に咲かせます。ダイダイは柑橘類の中でも、花をよく咲かせる品種と言われています。
開花時期はごく短く(5日ほど)、その間に手早く採取する必要があります。

ネロリの効果・効能

ネロリには優れた精神安定作用があり、ストレスを軽減する効果が期待できます。
これはラベンダーなどにも含まれる芳香成分リナロールの作用です。リナロールは抗菌作用と鎮静作用が高く、傷を癒す効果があります。

成分

ネロリの成分は多岐に渡り、そのおかげで幅広い効能が期待できます。
ネロール、ネリルアセテート、ゲラニルアセテート、シトロネラール、2-エチルフラン(ビタミンC)、αーピネン、カンフェン、αーテルピネン、リモネンなど50種類以上の成分が確認されています。
これらは薔薇やレモンバームユーカリ、樟脳、ヒノキレモンローズマリーなどにも含まれた成分です。ネロリに何ともいえない深い薫りがあるのは、これらの多種多様な成分が含まれているため。

様々な効果が期待できる

沈痛、沈静作用やリラックス作用、食欲増進、抗炎症作用、抗酸化作用など、様々な効果が期待できます。
ネロールには肌のハリを回復させる効果もあり、化粧品や食品に用いると優れた効果を期待できます。

ネロリは花から精製されているため、柑橘類の皮から精製されたアロマオイルより刺激がマイルドです。
柑橘類の精油を直接肌に付けるのは危険ですが、ネロリは肌荒れが少なく、どんな肌の人にも合いやすいハーブです。

ダイエットには不向き?

ネロリには食欲増進作用があります。
食欲が落ちているときは良いのですが、ダイエット中はかえって苦しくなるかもしれません。
リラックス効果もあるため、ある程度は使用しても問題ないと思いますが、ダイエット中はネロリの使用量には気を付けましょう。

ネロリは非常に高価な精油です。そのため、中にはダイダイの花以外の柑橘類の花で作られたものもあります。
花の種類により薫りが若干異なるので、自分に合うネロリを探す楽しみがあります。

エピソード

ネロリの語源

ネロリの名の語源は、17世紀のイタリアのブラッチャーノ侯爵夫人と言われています。
夫人はローマ近郊のネーロラ公国の王妃で、社交界の花形でした。
当時、貴族の間では革手袋が流行していましたが、その悪臭を隠すために、貴族は様々な精油を利用していました。夫人はダイダイの花の精油を愛用したため、いつしかそれは「ネロリの手袋」と呼ばれるようになりました。
転じて、ダイダイの花の精油をネロリと呼ぶようになったと言われています。

ネロリの歴史

ネロリの起源は非常に古く、北アフリカなど地中海沿岸では常備薬として製造されていました。
ネロリはトロリとした質感があり、強い抗酸化作用や抗菌作用があるため、傷薬として使用されていました。
胃薬やお菓子の薫り付け、化粧品など、日常的に使われています。
中国では12世紀に、水蒸気蒸留によるネロリの精製が始まったと言われています。それまでも中国ではダイダイの花を「代代花」と呼び、お茶に入れて薫り付けをしたり、食欲増進剤として使われていました。夏の疲れを癒す効果も期待できます。

ダイアナ妃も使っていた?

ネロリは非常に希少な精油で、最高級品のエッセンシャルオイルに使用されます。近年も高貴な方々に愛され、故ダイアナ妃が毎朝洗顔に使っていた逸話が残っています。

フランスで香料が作られた

フレグランス発祥の地、フランスのグラースは革手袋の産地でした。ネロリの手袋が流行するとネロリの生産も始め、香料として初めて製造した地域になりました。
フランスでも伝統的にネロリの精油をお菓子の材料などに用いますが、香料専門で作ったのはグラースが初めてとされています。

日本での生産地は熊本

日本では主に、熊本県水俣市で生産されています。
水俣市は水俣病により漁業ができなくなり、漁師は甘夏みかん農家に転職しました。
環境保全の大切さを身に染みていた水俣の人々は、40年以上前からオーガニック栽培を行い、独自の販路を築きました。
現在は甘い品種の蜜柑が人気ですが、水俣では現在でも甘酸っぱい甘夏みかんを生産しています。

甘夏ネロリは、大量に花を咲かせていたのに利用することもなかった甘夏みかんの花を採取し、精油にしたもの。工作放棄地を減らし、環境保全にも役立っています。

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