ハーブやスパイスは食生活を楽しませるアクセントから、医薬品効果まで様々な効能があります。
ハーブとスパイスの区分は国によって異なりますが、一般的には「花、葉、茎などを利用する香草」がハーブ、それ以外のもの(種、皮、根など)を利用するものをスパイスと呼ぶそうです。
ここでは、ハーブやスパイスの役目、歴史を見てみましょう。
食用から薬品まで
中世ヨーロッパ諸国は、コショウを求めて大海原に乗り出した歴史があることは有名です。これは、コショウが貴重品だったためです。
コショウは肉の保存に利用され、味を良くするため、肉食のヨーロッパ人にとっては価値のあるものでした。
- ハーブやスパイスのおおまかな役目は
- 味にアクセントをつけ、良くする
- 殺菌、抗菌効果
- 消化促進
- 滋養強壮、炎症改善など、薬品のような役目
などがあります。
日本では薬味として、ごく少量だけ食べることが基本です。一方で、インドのようにスパイスたっぷりのカレーを日常的に食べる地域もあります。
これはインドの環境が過酷で、その中で生きていくための薬としての効果もあるからです。
中国四川省もトウガラシ料理が有名ですが、四川の夏は湿度が高く、冬は極寒という過酷な環境だからです。トウガラシの発汗作用で体内の余分な水分と熱を出すためと言われています。
日本でもハーブやスパイスは古来から使われています。
シソ、ネギ、よもぎ、山椒、わさび(根、葉、花など)タデなど、「香味野菜」と呼ばれるものが多いのが特徴です。
よもぎは血流改善に効果があり、体を暖め、毒を排出する効果があるとされ、民間療法で盛んに使われています。
よもぎの若葉は煮て刻んで餅に入れ、乾燥させるとよもぎ茶やよもぎ湯になります。
苦みが強くクセはありますが、春先の不調改善にも効果があると考えられています。
わさびは殺菌効果があり、痛みやすい刺身の付け合わせには欠かせません。
ネギやシソは薬味(ハーブ)でもあり、野菜の役目もあります。加熱すると辛みが抜け、鍋の具材、ぬた、天ぷらなど様々な調理法があります。
歴史
東西どちらにも、ハーブやスパイスの長い歴史があります。
最も発達した地域の一つは、古代中国に確立された中医学(漢方の源流)でしょう。
何種類ものハーブを厳密に計ってブレンドすると、単品で使うよりも何十倍、何百倍もの効果が現れることを発見したのです。
現在、日本でも流通する漢方薬は薬効が実証されていますが、その多くが古代中国に発見された比率でブレンドされています。(日本独自のものや、アレンジしたものもあります)
中医薬は、ハーブやスパイスの薬効を最大限利用した技術です。
ヨーロッパでは、ハーブの扱いに長けた人々が医師の役目を果たしていました。しかし中世になると魔女狩りでハーブの使い手がいなくなり、教会がハーブの技術を独占しました。
やがてルネッサンス期になると、中東などから様々なハーブが輸入されることになり、さらに研究が進みました。
現在でもその名残はあり、イタリアのフィレンツェにあるサンタマリア・ノヴェッラなど、香水メーカーに転身した例もあります。
大航海時代は、スパイス(特にコショウ)の獲得のために始まりました。当時はインドなどから輸入していましたが、その量は少なく、ゴールドと同じ価値で取引されていました。
もっとたくさん欲しいヨーロッパ各国は競って船を出し、コショウの航路を確立しました。これにより、ヨーロッパに多くのコショウなどが輸入され、大いに栄えました。
一方で、現在でも身近なハーブで体調管理をする文化は続いています。ハーブティーは嗜好品と健康維持の役目を果たし、アロマテラピーなども盛んで、質の良い精油をたくさん製造しています。
中東では、砂糖をたっぷり入れたミントティーで客をもてなすのが礼儀とされています。体を冷やす砂糖と、のどごしの良いミントが砂漠で荒れた喉を潤します。
草の生えるところにはハーブやスパイスがあり、今でも世界中の人々で愛用されています。
コメントを残す